第21話
「皆さん村の外へ!!身を隠せる場所へ!逃げてください!!!」
キイロの素早い行動により村人達が、村から山の方へ続々と避難している。ドラゴンのいきなりの出現に村人達もパニックになっている様子。
一方平屋の中でのんびりするブルーとカズト
「ねえカズト、本当に私達は逃げなくてもいいのかな?キイロも避難してくださいと言ってたし、こんな紅茶を飲みながらのんびりしてて大丈夫かな?」
「まあ、聞いてくれ。ドラゴンの目的はこの村の生け贄だ。俺達はよそ者、生け贄の対象外になる筈だ。それにまだ人間の脚になれないブルーに俺を持ちながら山まで逃げる方がむしろ危ないと思うんだ」
「なるほど。確かにカズトの言うことも一理あるね。魔法にも持続性があるし、避難してる途中に脚から鰭になった危険だもんね」
「まあ、そいうことだ。ドラゴンだって誰も居ないと分かったら帰るだろうよ。」
「カズト震えてますよ」
「いやいや、俺は震えてないだろう。この家が揺れてるんだよ。え?家が揺れてる?」
自問自答するカズトは迫り来る危険に気が付かされる。
「この振動って、ドラゴンが歩く振動なんじゃ⋯?」
その途端、平屋の屋根が聞いた事無いような音でめくり返された。空が見えるようになった天井からスッと顔を出した紫のドラゴンは、俺たちを鋭い眼光で睨みつけた。
『贄をよこせ』
人の言葉を話した、という驚きより、目の前の迫力に2人は圧倒されていた。ドラゴンの平屋を越す巨大は紫色の見るからに分厚い鱗に覆われており、鋭い爪、鉄をも砕きそうな牙、巨大なドラゴンの体より巨大な翼、息を飲むような迫力のある威圧感もあいまってブールはうるうるしたその瞳で話した。
『もう一度言う、贄を我によこせ、なければ我の怒りが収まることはない?』
「……は?聞いてんの!?知らねえよ!」
ドラゴンの質問ににとっさにツッコミを入れるカズト。
「カズトは黙ってて下さい!あのドラゴンさん!このお魚を贄にしてください!」
『魚畜生ではないか、珍しくともなんともないが?俺を馬鹿にするなら俺の怒りが―』
「―っブルーてめえ!!!俺を売りやがっなあ!!?」
ブルーの手のひらで持ち上げられていたブルーが喚いた。
「僕の話を聞いて欲しいんだ、僕は死にたくない。だからカズトには僕のために死んで欲しいんだ」
「なに、清々しい顔で身も蓋もないことを言いやがって!そんな都合のいい話がきけるか!」
「おい待て、その魚畜生は言葉を話すのか?」
「そうなんです!それに異世界者で元は異世界者らしくて⋯」
らしくては余計だ。
「それに―ち〇ち〇がないんです!!」
「おいおい、何くだらないことを言ってやがる。とち狂ったかブルーよ。ドラゴンさんがブチ切れるぞ!」
「⋯⋯ち〇ち〇が、ないだと。なんということだ。性剣エクスカリバー、、、もしや勇者なのか?」
「僕にも分かりません。しかし、ドラゴンさんにとっては喉から手が出るほど欲しいものなのでは⋯⋯?」
「確かに、ち〇ち〇がない魚畜生の異世界者か、、、良いだろ。今回はこいつを贄とする」
ドラゴンはブルーの手のひらから魚畜生のカズトを手で掴かんだ。
「カズト、必ず助けるから、多分」
そう、ドラゴンの手に渡る寸前、ブルーから聞いた言葉。
まじで贄になってしまった。ブルーが何とかしてくれるっぽいけど。本当に助かるのだろうか。俺がブルーになりそう。てかなってる。
てか結局、本当に下ネタという概念しか存在しない最低な世界だなあああああ!!
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