第19話

小学校や中学校の教室の大きさと用途を覚えているだろうか。30人ぐらいがある程度の場所を取って座れる、割と広い寝室のことだ。冗談です。勉学するところですよね。でも俺寝てた記憶しかねぇんだよあ。


まあ、そんな教室のような部屋を丸々使ったような家。部屋は一つで、キッチンやトイレやダイニングやベッドがその部屋に纏まっている。マジでオシャレで住みやすそうな平屋だ。永住したい。


そんな広い家の真ん中にカズトとブルーは座っていた。


「それでは、お二方をお客様としてお迎えいたします。ようこそカラ村へ。困ったことがあれば私に相談ください」


笑顔を振りまく村長代理ことキイロさんである。


「なんでも構いませんドラゴンのこととか、ドラゴンのことやドラゴンでも」


ドラゴンのことしか聞けねえじゃねえか。


カズトを手に乗せて絨毯の上に座るブルー。2人の対になってキイロも座っている。


「キイロさんって魔法使えるんですね。凄いっすね」


「そう言ってもらえて嬉しいです」


というのも、この村に来る前の話である。困ったことがひとつ。村に来るようにキイロに勧められ、村に行くことになったのだが、魚と人魚は足がないため歩けないことだ。そんな時にキイロが使った魔法は変化魔法の一種、『構造変化魔法』。ブルーの鰭が人間の脚に変わったのは彼女の魔法の効果だ。おかけでブルーは歩けるようになった。そして、歩いて俺たちはカラ村の宿まで来れたわけだ。


「その魔法で俺を人間に出来ますか?」


「なるほど。弱りました。というのもこの魔法はまだまだ未熟でして、腕や脚なら今の私でも変化させることが出来るのですが。体全身となると、、失敗してしまう可能性があります。失敗すると何が起こるかわらないのです」


「魚から変化できればなんでも。お願いします」


「カズト、やめておいた方がいいかも。失敗すると何になるか分からなしい。もとに戻らないかもしれないよ」


「なんだよ2人して。分かったよじゃ、また今度にするよ」


ぶつぶつと不満を呟きながらもカズトはキイロの魔法を諦めた。


「ここの村長は私の魔法の師です。彼なら貴方を人間の姿にする事が出来るかと思います。・・・・・・というかなんで喋るんですか。魚、ですよね?」


「カズトは異世界人なんだ。転生したら魚だったらしい」


「それは、、、不憫でしたね。むしろ不憫を通り越して笑えてしまいます。ふふふ」


「それは確かにそうかも、ハハハハハハ」


なんでだ。この世界の奴らの道徳感はどうなってんだ。優しさは無いのか。シンプルに泣きそう。


「キイロは異世界人に会ったことはあるのか?」


「カズトが初めです。異世界人は我々の知らないことを多く知っていると噂で耳にしたことがあります。文化的、技術的に先進的に進んでいるとか」


「いや、俺はなんにも知らないです」


「そう謙虚になさらず。政治、経済、技術などの文明の力に関すること――」


「どっちかっていうと漫画やゲーム、アニメの話なら出来ますよ」


「あーカズト。アニメ、ゲーム、マンガという言葉は禁句なんだ。この国」


「はあ?なんだよブルー」


「何十年も前から、その言葉を使う異世界人の多くが逮捕や刑罰にあっています。なのでカズトはやっぱりって感じで、はぁーって感じです」


「偏見すぎるでしょ、それ」


「異世界人という存在が確かに珍しいので人々ので注目を集める、というのはありますね」


はあ、もしかすると転生される奴らって、現世で社会不適合者の可能性が大ってことか。・・・・・・誰が社会不適合者だ。にしても異世界転生の諸先輩方は何をしてるんだよ。捕まってるのかよ。まあ、俺も形骸化した法律とはいえ法を犯した側の人間(魚)だし、捕まりそうになったわけだから人のことを言えないんだよね。



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