第47話 辺境平定
「お前たち、わしをどうするつもりじゃ」
アルアドが話しかけてきたが、こっちはシュブちゃんの事で忙しい。
放っておいたら怒りだした。
「お前達は、わしとそのバケもんと、どっちが大事なんじゃ」
「な、なにーーっ」
俺とチョカイの声が重なった。
「バケもんだとー、ぶっ殺す!!」
俺も切れかかったが、チョカイが先に切れて、アルアドを殺そうとしている。
「まてまて、やめるんだー」
俺とリョウメイが取り押さえる。
「はなせー、オウブ、お前は腹がたたんのか」
「たつ、立つとも、お前の気持ちは俺が一番よくわかる。だが殺すのは話しをしてからだ。シュカイちゃん、チョカイを止めてくれー」
シュカイちゃんに取り押さえ付けられると、チョカイは大人しくなった。
「アルアド、お前には降伏を勧めたがそれを断りこの結果だ。どうしたいのか、一応聞いておこう」
アルアドに聞いた。
出来れば降伏してくれると、話しがはやいのだが。
「これが魔王の力なのか」
「そうだ」
「……」
アルアドは押し黙って覚悟を決めているようだった。
「わしの命は、どうでもいい。配下の兵士、領民、家族の命は助けて欲しい」
「ふふふ、それがお前の仕事だな」
「な、なに」
「お前が、兵士、領民、家族に魔王様のもとで暮らすように説得するんだ」
「……」
「なあ、アルアドなぜ、そんなに魔王を嫌うのだ」
「お前達こそ、魔王に何をされたのか忘れたのか」
「今の魔王様と、前の魔王とは別人だ……」
俺たちはこれまでの経緯をアルアドに事細かく説明した。
アルアドも馬鹿では無い、魔王様の実力とその心を聞き、アスラ様の陣営に入ることを了承した。
こうして、辺境五領が魔王アスラ様の傘下に入った。
アルアド陣営からは、アルアドの孫のアドが、アルアド軍を指揮する事になり、俺たちに合流した。
って、子供じゃねえか。
「私を馬鹿にするニャ」
猫耳の少女が陣営に加わった。
「シュリさん、この武器を運んでください」
「ぐあーーーっ、こ、こんな重いもの持ち上がるわけがないのじゃー」
「シュカさんお願いします」
シュカは、大量の武器が入った箱を軽々持ち上げて、商館の端へ移動させる。
僕たちは、リコさんとシュリが入れ替わっていることに気が付いていますが、面白いので気付いていない振りをしています。
「おかしいですね、シュリさんとシュカさんはだいたい、同じ重さまでは持てるはずなんですけど」
「きょ、今日は調子が悪いのです。フー疲れました」
「シュカさん、あなたは疲れましたか」
「いいえ、私は疲れることはありません」
「もう、降参じゃーー、私はリコでーーす」
「ぎゃーーははははは」
全員が笑っています。
「ぜ、全員気が付いていたのですか。ひ、酷いです」
今日までの数日間、リコさんのおかげで、武器の買い占めと薬の買い占めも順調に進み、鍛冶屋にまで手を広げ買い占めが進んでいます。
「あのう、大変です」
チッカさんが青い顔をして飛び込んできました。
「どうしました」
「裏に人が戻ってきています」
裏には、闇の組織とかが住んでいました。
追い払ったはずですが、戻って来ているようです。
「やれやれ、魔王がいないと玉座の値打ちも下がるのかねーー」
コデルさんがあきれています。
「恐らく、私の父が恩赦でも出したのでは無いでしょうか。実は私の父、魔王の息子でサダルというんです。この地区の統治をまかされています」
「取りあえずもう一度、ご挨拶に行きましょうか」
僕たちが、あいさつに行くと、全員が腰を抜かしたように、はいずり出しました。
元々、手足が折れていた人達です、まともに歩けないようですが、僕達の顔を見た途端に立って歩ける人がいなくなりました。
「な、何しに来た」
人相の一番悪い人が聞いて来ました。
「それは、こっちのせりふです。本当に何しに戻って来たんですか」
「俺たちは、ここしか行き先が無い、頼む体が治るまでで良い、いさせてくれないか」
「ふふふ、あなた達にそう言って助けを求めた人に、あなた達は手を差し伸べたことがあるのですか」
フォリスさんが怒っています。
まあ当然でしょう。
身から出たさびです。
「全員玉座送りです」
「やめてくれーーー」
綺麗に人の気配が無くなりました。
「くふふふ」
フォリスさんの機嫌が少しよくなりました。
僕たちの武器の買い占めが終る頃、やっと魔王都が、騒がしくなった。
魔王を名乗る反乱軍が、辺境五領を制圧したと噂が流れだした。
その上、反乱軍は魔王直轄領に勝手に巨大な城を作っていると、騒ぎになりだした。
僕たちは、仕事もだいたい終っているので、商会でのんびりすごしています。
「お邪魔します」
ロホウさんと、リコさんになりすましたシュリさんが入ってきました。
「こちらへどうぞ」
僕はテーブルに案内してお茶の用意をお願いした。
「アスラ様、リコ様、どうやら魔王国は勝手に作っている反乱軍の城の破壊に兵を出すようです」
「そうですか。では僕もその反乱軍討伐隊に参加させて貰えますか」
「えーーーーっ」
まわりの人達が全員驚いている。
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