第38話 極限状態の中の熱狂のゆくえ 2

 人が死んだとき。

 特に、自分の身内や余程親しい人、あるいは影響力のある人が死んだときというのは、まあ、覚悟していたような場合は必ずしもそうではないのだが、それがあまりに突然、などというときには、どうしても、精神状態が普段と変わってしまいます。

 それだけじゃ、ない。

 それが、目に見えて、行動に出てしまうものなのです。


 私も、そうでした。

 特に、実父が亡くなったときなんかは、ね。

 そのことについては、ここでは詳しく述べませんけど。

 というわけで、かの映画で例を上げさせていただこう。


 主人公の石村修青年の比叡山原爆観察の話なんか、まさに、それ。

 彼の場合、弟が戦死しているわけね。

 それだけじゃない。

 広島入りして原爆の惨禍を見せつけられたというのも、大きいわな。

 堀田青年の陸軍志願にしても、それ以外の何物でもない。

 彼の場合は、兄が文科系の学生で、徴兵されて戦死したとのこと。

 それが、あのような形での言動になったというわけ。


 彼らに対する教授の対応は一見正反対だが、ああいう大人が、必要なのよ。

 こういう時こそ、ね。


 この手の熱狂というのは、このような形で、現象面に現れるのです。

 そこに意識を置いて是非かの作品をご覧になっていただくと、いいでしょう。

 

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