第29話 自暴自棄という形をとる熱狂
さて、大先生に「阿呆!」と一喝された大学院生のおにいさんのお話。
彼、「堀田(ほった)」さんという方だそうで、何と、夏目漱石の「坊ちゃん」に出てくる数学教師の山嵐さん、教頭の赤シャツの天敵ですけど、その方と同じ苗字というのは、なんか、あったのかと思うくらいね。
彼、思うところあって陸軍に志願して、実際、出頭するのだが、その間、大先生から電報を打たれ、それもあって陸軍の出頭先でも恐らくはどやすようになだめられもしたろうし、帰ってきたら今度は大先生から「阿呆!」の一喝。
それで彼、どれだけ目が覚めたのやらという気はしないでもないけど、その一連の過程というのは、ある意味、「自暴自棄(「やけ」、とも申す)」の要素さえ見て取れます。
彼の動きというのは、そういう性質の、熱狂なのです。
これはかの時代の個々の大学の個々の研究室のそのまた特定人物の動きだけで話が終わるわけでもないことは言うまでもないわな(低能はすぐそのレベルで物を言うのだが、それが低能たるゆえんでもある)。
このような精神状態に置かれ、なおかつこのような言動に走る人間というのは、あるいは誰であれ、このような状況下に陥る余地というのは、ないわけではない。
そこを押さえておかないといけません。
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