第16話 釉薬の粉の色と、それにかかわる思い出を一つ
実験で使う釉薬の粉、本来は陶芸の色付けに使うものなのでありますけれども、これをまあその、究極には武器開発、それも核兵器ってことになるのですけど、本来通常の使用法では「平和利用」(ちょっと大げさやな)されているものを、実験段階とはいえ「軍事利用」に供しているわけですな。
その釉薬の、「色」。黄色の粉なんですよ。
その黄色の粉が、何とも言えない鮮やかさを、この映画に添えているのです。
この時代を知っている人は、同時期の他国はともかく、日本であれば、戦時中のいかにも「暗い時代」ってことになるのでしょうけど、それに従って「暗い」色合いばかり使ってしまえば、それこそ、やくざイコールあんな格好、みたいなステレオタイプのものしか出来上がらないわな。もちろん、異様に大向こうを張って明るく描くというのもありだろうが、それではリアリティがあまりに云々、ってことになろう。
さてさて、その釉薬、研究室の学生さんらの口論から発展したいさかいによって、何かの弾みで、瓶が机から落ちてしまい、床にはじけ出すのよね。
そのときの、あの粉の黄色が、ね、何とも、言えんの。
本来、釉薬は陶器などに塗られることによって、その物体に彩を添える、天然の色合いなのだけど、これが人工のそれも極地の軍事利用のための実験に使われるとなったあかつきには、その色は、どんな色合いになっていくのか。
ある者にとっては、確かに、異様に明るい色になるだろうね。
もっとも、それを使われる方にとっては、明るい色どころか、ってな話だが。
あの明るい色の釉薬が床に落ちるシーンは、いろいろな面での象徴だろうと、わしは思っておるのよ。その入手過程を追って行けばそれは明白だけど、ここでは述べないでおきます。
そうそう、こんな話、思い出した。1980年、小学5年のときや。
社会科か何かの授業で、備前焼の話になったのね。
基本的に備前焼って、釉薬を使わないのよ。
ただ、その時の担任の先生、
「釉薬を使った備前焼も、あるにはある」
なんてことを言われたのを、思い出した。
~ その先生、今私の住んでいるアパートの目と鼻の先にお住まいなのね(苦笑)。
もっと言うと、その授業のときは確かに、黒崎君もいたはずよ(特に欠席していたなんてことはないと思う)。同じクラスだったからね。
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