第12話 1970年代のテレビを見ているかのような・・・

 この映画「太陽の子」に出てくる映像中、ときに、京都を象徴する東寺の五重塔が下からのアングルで写された場面が出て参ります。

 そのカットですが、何だか、1970年代のテレビ番組を見ているかのような、そんな錯覚に陥ってしまいました。それがなぜなのかは、よくわかりませんが、これは間違いなく、そういう意図ではめ込まれたものではないかと。


 さてこの映画、昨2021年でしたか、若くして亡くなられた三浦春馬氏が主役の一人をしていて、何と、特攻隊員として戦死してしまうという役なのでありますが、彼のファンと言われる方が結構、この映画を映画館で観たり、あるいはこのDVDを買ってみたりしているようです。


 しかし一方で、この映画全体を貫いている映像の雰囲気というのが、どうも、黒崎さん、いや、黒崎君や私が小学生の頃、それも低学年くらいの頃までの、あの頃のテレビ番組の映像を映画に持ってきたかのような、そんな感じがしてならんのよね。

 確かに彼は、なんと今の「京都大学」の正門をそのまま、特にCGやセットも使わずして学徒出陣する学生たちのシーンとして描いていますが、それゆえに、過去と現在、ひょっとすると近未来(これだけは勘弁してほしいわ、マジで)の狭間を見せつけられている気にさせられます。

 その一方で、昔も今も変わることのない東寺の五重塔の建物は、まあ、そのカット中に鳥が飛んでいようがいまいがさほどの差はないけど、昔も今も、そして近未来も遠い未来も変わることないであろう、そんな場面。


 だがそこで、何だか知らないが、不思議な心境にさせられたのね。

 ひょっとそれは、映画監督の少年時代を知っていて、なおかつ小説を書くという仕事に至ったという、この私だからこそ感じたことなのかも、知れないけど。


 色というテーマとは少し違うかもしれないが、あれはなんか、不思議なのよ。

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