第4話トウメインと薬局
私は博士。
私は透明な薬の開発に成功した。
しかし本当にそうだろうか?
これからは先入観を捨ててみる必要があるのかもしれない。
◆◇◆◇◆◇◆◇
私は博士。
私は透明になる薬を開発していた。
勃起薬が効かなくなったのはそのせいかもしれない。
透明人間になれば、いぼを気にせず自由にできるはずだ。
いぼを気にせずにエッチができるのだ。
(いや、それはどうかなぁ……)
ん、どうしてだ?
(いや、だって透明になっても勃起ができないだろ?)
……なに?
(勃起薬が効かないなら、トウメインも飲む必要が無いではないか)
つまり、トウメインを飲まなければ勃起薬の効果が切れても、
トウメインの副作用は発生せずいぼにも悩まずに済むということか……。
おぉ!それは素晴らしい!
(だろ?)
早速実験してみることにしよう。
◆◇◆◇◆◇◆◇
今や、私の目の前には全裸の女性がいる。
彼女は私の妻だ。まるでカラスウリだ。
読者の皆さんはカラスウリをご存知でしょうか?
カラスウリとは夜に光る植物です。
その正体は実は植物の花ではなく、実なのです。
実は花のように見える部分は葉っぱなのですが、夜になると実の部分だけが光ります。
妻とはそういうものなのです。
私はトウメインを飲んで透明になった。実験は成功だ!
これで彼女を好き勝手できるのかもしれない。
そして私は勃起しなかった。
(あら、どうしたの?)
「私ってさ、いつの間にか勃起しなくなったんだよね」
(え?勃起?)
「うん、勃起」
(どうして?)
「どうしてだ?どうしてだろ?」
(分からない。でも、あなたは勃起しない方が可愛いわ)
「ありがとう」
あのさ、勃起しなくてもエッチはできるけどさ、やっぱりしたいじゃん?
それに勃起しないんじゃ、やる気も出せないわけだし。
どうしたもんかな。
困った私は薬局の親父に相談をすることにした。
「ちょっと!
勃起薬と勃起不全用の薬買ったんだけど!」
(うへぇ!まいどあり!)
「親父!あなたはカラスウリを知っているか?」
(なんですって?どういうことですか?)
「いや、だから、奥さんはカラ……えーっと、なんと言ったらいいか。
妻は植物なのです」
(そうか、知らなかったけど、いぼは増え続けていたんだな)
「そうなんです、親父。いぼに効く薬くらいあるんじゃないですか?」
(はっはっは!博士よ、そんな都合の良いものがあるわけないだろう!)
「確かにそうだ。でも、本当のところはどうなんだ?」
(ん?どうなんだとは?)
「例えばトウメインみたいな便利な薬があるじゃないか」
(ああ、あれは便利だよなぁ……)
「他にはどんな便利な薬があるんだ?」
私は博士として沢山の便利な薬を研究してきた。
例えばこれなんかどうだ?私は親父にそう言って、薬を見せた。
(へぇ、博士!それはどんな薬なんです?)
「これは博士になれる薬さ」
(ほほう!そんな薬があったなんて!)
親父は驚いていた。
「あんたの店にはこういう本物は置いてないのか?」
(いや、うちの薬は全て本物ですよ)
「じゃあ、私の薬は偽物なのか?」
(いや、そんなことはないと思ってますよ!)
「だったら、この薬を1万円で買ってくれないか?」
(うーむ、困りましたねぇ……)
「あなたの店ではこういう薬は需要がないのか?」
(はい、そういうわけです。何しろ副作用がありそうですからね)
そうか、分かった。じゃあ、もういい。
◆◇◆◇◆◇◆◇
俺は東明(あずまあきら)。
親父を名乗る男に薬を売りつけようとしてみたが断られた。
しかし、親父の店で扱っていないだけで、他の親父なら買い取ってくれる可能性は十分にある。
だったら、他の薬局も試してみよう。
俺は別の薬局の親父に相談することにした。
(こんにちは。今日は何をお探しで?)
俺が懐から取り出したのはカラスウリ。
(お客さん、それを飲むのかい?)
「いや、これは違う」
(じゃあ何を?)
「これは透明になる薬だ」
(透明になれる薬だって!? そんなものが作れるはずないだろう!)
「ところが作れたんだよ。信じられるか?」
(まあいい。それで何か用か?)
「ここにある全ての薬を売ってくれないか?」
(おいおい、いくらなんでもそりゃ無理ってもんですよ)
「じゃあ、どれでもいいから安くしてくれ」
(仕方がねえなぁ。少しだけだぞ?)
やったぜ!
親父の態度が一変した。
オレオレ!博士なんだけど、失敗から偶然生まれた透明人間になれる薬『トウメイン』が再現できなくて七転八倒したものの出来たものはとんでもないものだった。ほらみろお前たち、人類が絶滅したじゃないか(憤怒) でぃくし @dixie_kong
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