5話 逆さまジェニー

クレソン、ルーベン、グレタ、トッドの4人は映画館をでて近くの切手屋に向かう。


そうだ、切手屋と言えば面白い話があるぞ。


と、クレソンが言う。


へぇー、どんなの?


と、グレタが答える。


逆さまジェニーって切手知ってる?


いいえ。


アメリカで初めて量産された飛行機ジェニー、双翼機を青色で中央部に刷るのだが、その際に4枚のシートが誤って逆に差し込まれエラー切手が生まれたらしい。


じゃあそのまま切手に?


そうみたいだな。


それは面白いわね。


俺が思うにわざとやったんじゃないか? だって量産型だからもう作りたくない! てそれが切手にも出たんだな。


そうね。あなたみたいな人間が作ればね。


そうだ、あの切手屋にはあの女性が居たね。


あの女性?


ほら切手屋の、えーと?


タイナ? タイナ・ロサス?


そう! ちょっと声を掛けてみようかな?


タイナはいい子だよな。


と、ルーベンが言う。


お前知ってるのか?


着いた! あそこだ。


4人はこじんまりとした切手屋に入った。看板にデカデカとピースの絵文字のイラストを掲げている。


入ると、警備員の大柄なボブ・クーパーがいる。


切手屋の警備員で、以前は軍隊にいたが、怪我をして除隊となった。その後ツテでこの切手屋に来た。


いらっしゃいませ。


と、ボブが言う。


やあボブ久しぶりだね。


クレソンか、久しぶりだな。グレタとはどうだ?


ん?グレタ? なんの話かな?


付き合って無かった?


いや付き合ってないよ?


そうだっけ?


ああ。


ボブ! 久しぶり!


と、グレタはボブにハグをする。


久しぶりだな! グレタ! 切手見てってくれ!


そうする!


レジに1人の女性がいる。


ちょっとグレタ行ってくる。


と、クレソンはレジにいる女性に近づく。


やあ、僕クレソン。君はタイナだったね。


あら、クレソン。


と、握手する。


君の噂は聞いてるよ。昔郵便局で働いてたみたいだね。今は切手屋か。なぜ切手屋に?


スカウトされたからよ。郵便局に飽きてたし。


そうなんだ! 切手すきなの?


切手すきよ! じゃなきゃ郵便局で働かないわよ。


知り合いに郵便局で働いてるやついるけど、そいつはサボりまくってた。手紙や切手に興味がない。知ってる? アーロン・リードてやつなんだけど。


知ってるわよ、同じ局だったから。


やっぱり! 郵便局で僕と会ってるかもね。君は綺麗だね。どうだろ? 僕の番号教えるから、デートなんて。


ううん、実はすきな人がいるの。


君に? どんな人?


同じ切手屋の人?


そうね。でもどちらかというと学芸員かな。


そうか。まあでも一応番号教えておくよ。


と、メモ帳に番号を書いてタイナに渡した。


ありがとう。


じゃあもう行くよ。


と、クレソンは動く。


クレソン! 丁度良かった帰りましょう。


ああ。


4人は外へでると話す。


で? タイナはどうだった?


それがすきな人がいるって。番号は渡した。


そっか。


クレソンナンパは失敗した。


何買った?


逆さまジェニーよ。


クレソンはニヤニヤしながらグレタのほうを見る。


クレソンは面白がっていた。


帰りの電車でも逆さまジェニーで笑っていた。


まさか、逆さまジェニーが運良くグレタの手に渡るとは思ってなかった。







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