第5話 【創造?→想像》
「《創造》――!!!!」
俺がスキルを発動させると――。
『スキル《創造》が発動しました。なにを創造しますか?』
なんていう無機質な声が、俺の脳内にきこえてきた。
「え……?」
「なんじゃ? なにも起こらんぞ?」
どうやらアイリにはなにもきこえていないみたいだ。
俺はその声に困惑しながらも、とりあえず答える。
「え、えーっとそうだな……じゃあ、今日の昼飯!」
他に欲しいものがなかったのだから、しょうがない。
ちょうど腹も減っていたから、それしか浮かばなかった。
すると――。
『昼飯を創造しました』
そんな声とともに、俺の目の前に豪勢な食事が用意された。
「うおおおおおおおお!? なんだこのスキル!?」
「ほんとになんじゃ!? このスキル!?」
俺たちは目の前で起きた信じられない光景に、二人して驚いた。
まさか念じただけで、本当に食べたいものが出てくるなんて……。
これが『創造』のスキルなのか……?
もしかして、これってなんでも好きなものを作り出すことができるのか?
創造っていうくらいだから、この世界にないものまで創ることもできるかもしれない。
いったいどこまで可能なのだろうか。
「さすがになんでも作れるのは、すごすぎるよな? このスキル」
「いや、スキルスロット6も使用したんじゃ。そのくらいの強力なスキルでも、なんら不思議ではないの」
「マジか……」
「まあ、その辺りはいろいろ検証が必要じゃな。試しにもういっぺん、他にもなにか作ってみるのじゃ」
「よし……! 《創造》――!!!!」
今度はふかふかのベッドを想像して、『創造』を使ってみた。
最近寝苦しくて、どうにも新しいベッドが欲しかったんだよなぁ。
しかし、返ってきた返答は意外なものだった。
『スキル《創造》を発動することができません。創造に必要な《
という音声が、俺の脳内に流れる。
「は……? CP……? なんだそれ……?」
俺の問いかけに答えるように、また音声が流れた。
『創造スキルを使用するために消費する対価のようなものです。それがなければなにも創造することができません。レルギア様は先ほどの昼飯創造で、すべてのポイントを使い果たしてしまいました』
「え……マジか……てか、そもそも、俺そんなポイント貯めた覚えないんだけど」
『初期CPとして100CPがもともと付与されております。昼飯の創造にそれらをすべて使用しました』
「マジかよ……。そういう大事なことは先に言ってくれよなぁ」
俺はがっくりと肩を落とした。
そもそもその100CPとやらがどのくらいの価値なのかもよくわからん。
出てきた昼飯の豪華さから想像するに、けっこうなポイントなんだろうな……。
俺はそれを一気に使ってしまったというわけだ。
頭を抱える俺に、アイリがちょっと拗ねた口調で話しかける。
「おい、さっきからなにを一人でぶつぶつ言っておる」
「ああ、すまん。なんか変な音声が流れるんだよ。頭ん中にさ」
「ほう、会話のできるスキルか。珍しい。他には『大賢者』くらいしか知らぬな……ふむ。まあ、スロット6のスキルじゃ。今更何が起きても驚かん」
俺はアイリにさっきの会話の内容を説明した。
「それで、そのCPとやらはどうやって会得するのじゃ? 対価として消費するということは、なにか貯める方法もあるはずじゃろ?」
「あ、そうか。それをきくのを忘れてた」
アイリの提案で、俺はスキルに自分から問いかけてみる。
すると、スキルはちゃんと答えてくれた。
『CPはスキル使用者が
へぇ。
でも、満たされると一口に言ってもいろいろあるぞ……?
俺は尋ねる。
「それは、性的にか?」
『性的にです』
マジか……。
「絶対に性的な意味の満たされるしかダメなのか?」
『食欲などを満たすことでも可能ですが、会得効率が一万倍ほど違います』
「そっか……ならダメだな……」
それにしても、困ったな……。
性的に満たされることでしかCPを補充できないとは。
俺にはあいにく彼女もいないし、身体もまだまだ子供だ。
なんとか方法を考えている俺に、アイリが話しかけてくる。
「どうしたのじゃ? それで、CPはどうやって貯めるのかわかったのか?」
「あ、ああ……うん。方法はわかった」
だけど、アイリになんて伝えたものか……。
性的に満たされる必要がある、なんて言うのはちょっとさすがに恥ずかしいぞ?
「まーあの、なんだ、その。えっちなやつだ」
「は……? えっちなやつ?」
「えっちなことをするとCPも満たされるそうです」
「はぁ……。そこまでして我とまぐわいたいのか? そんな嘘をつくように育てた覚えはないのじゃが」
「いやちげえよ! 俺じゃねえ! スキルがそう言ってんの! ほんとだよ!?」
なんだかあらぬ疑いをかけられてしまった。
俺は必死にアイリに弁解する。
変な誤解をされたままなのは困るからな……。
「ふむ、そういうことか」
「ようやくわかってくれたか……」
必死の弁解で、なんとか誤解はとけたようだ。
ていうか、もしかしてただの冗談だったのか? 俺は弄ばれていた?
するとアイリは、さらにいたずらっ子なメスガキフェイスな笑みを浮かべて。
「なら、簡単な話じゃろ」
「は……?」
「どれ、我がレルの欲望を満たしてやろう」
「えぇ……!? ちょ、ちょっと……!?」
アイリはいやらしい目つきで俺に襲い掛かってきた。
俺の貞操が過去一ピンチだった。
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