第6話 「おね→♡ショタ」《ビッチ?》


「おいバカやめろ!」

「誰がバカじゃ! 我は最上位の知能を持つドラゴンじゃぞ!」


 アイリは俺に色気のある手つきで襲い掛かってきた。

 まさかとは思うが、こいつマジで俺と一線を越える気か?

 いくらCPを貯めるためとはいえ、それはまずいんじゃないのか!?


「レルも我とそういうことができるのはうれしいじゃろ?」

「なんでそうなる!? 今更アイリに欲情しないって!」


 なにせ、俺が赤ん坊のころから一緒に暮らしているんだ。

 しかも相手はドラゴン。まあ、俺も竜王なわけだけど。

 今までに裸も見慣れているし、家族に欲情するなんて節操のない俺ではない。


「ふっふっふ、バレてないとでも思ったか?」

「な、なにがだよ……」

「夜な夜な我の洗濯ものを漁っておったじゃろ! このスケベ小僧め!」

「…………いや、普通に知らんが」


 なんだこいつ変な言いがかりつけてきやがって……。

 マジで俺はそんなことしてない。

 っていうか、むしろアイリが俺のパンツをクンカクンカしてるのを何度も見た。

 長生きしすぎてボケてきたのか?


「嘘じゃ! いつも洗濯ものを川に持って行っておるじゃろ!」

「それ普通に洗濯してるだけじゃねえか!」


 まったく……いつも俺が洗濯しないとろくに綺麗にしないからなコイツは……。

 それなのに、ひどい言いがかりをつけられたものだ。


「むぅ……いいから服を脱ぐのじゃ! 我とスケベするのじゃ!」

「この変態ショタコンドラゴンめ……! そんなオッサンみたいな誘い方でイケるとでも思ってんのか!」


 俺たちはお互いの服をつかんで取っ組み合いになる。

 もみくちゃになってるうちに、俺の手がアイリの小ぶりな胸に触れてしまう。


「あ…………」

「どうした? 揉みたいか? いいんじゃぞ? CPのためじゃ。いくらでも揉むといい」

「っく……誰が揉むか……!」


 たしかにあの柔らかさには目がくらむが……。

 だけど、俺はそんな軽薄な男ではない。


「ふむ? なぜそこまで頑なに拒むのじゃ? さては不能なのか?」

「違うわい……! こちとらまだまだ元気な12歳だわ!」

「なら拒む理由はないの? おかしな奴じゃ。人間というのは……おっと、今はもう竜王じゃったな」

「いや普通拒むだろ……。だって、俺たち家族だろ?」

「家族ならなおさらいいのではないか?」

「は…………?」

「我はレルと夫婦めおとになってもよいのじゃぞ?」

「マジかよ……」


 そういえばこいつマジのショタコンドラゴンだったな……。

 となれば、歳の差なんて関係ないのか。

 まあそもそもコイツ不老不死みたいなとこあるし。


「言ったじゃろ? レルは我の眷属じゃ。一度や二度の性交くらい、今更とるに足りぬことじゃ。我とレルは、すでにもっと深い仲なんじゃからな」

「そ、そういう問題かよ……?」


 てか、なんで俺は今美少女に口説かれてるんだ……?

 まさかコイツ最初からそのつもりで俺を拾ったのか……!?


「勘違いするでないぞ? 我も誰にでも心や体を許すわけではない。ずっといっしょに過ごしてきたレルじゃからこそ、ここまで迫っておるのじゃ」

「そ、それは……ありがたい話だけども……。お、俺を拾ったのは、そういう理由か?」

「我はあまりに高位の存在すぎて、ショタをナンパしたりするのは人目がはばかられるからの。レルを拾って我だけのイケメンショタに育て上げれば、一生一緒に居れると思ったのじゃ!」

「正直すぎる……」


 てことは、このショタコンドラゴンに拾われたのが運の尽きってことかよ……。

 どっちみち俺は食われる運命だったってことか。


「ほれ、この首筋の噛みあと。これこそ他ならぬ、我とレルとの絆の証拠じゃ。竜王としてこの先千年を生きるお前と我の間に、一度も性交がないほうが不自然じゃろ? いいから観念せい」

「くっそ……もうわかったよ。好きにしろ。だけど俺は絶対にアイリに欲情しないからな。そんなん姉に興奮する変態とおんなじだからな。その証拠に、CPも絶対に貯まらないからな!」

「ふん、すぐに素直にさせてやるわ。言葉で拒んでも、CPは嘘をつかんからの」


 アイリは俺の上に覆いかぶさると、例の噛みあとの上から、甘噛みした。

 そのまま首筋をいやらしくなめられて、俺の身体が反応する。


「う…………」

「どうじゃ? 今のでCPはいくら溜まった?」

「ゼロだよ……」


 嘘である。少し首筋に吐息を当てられただけで、俺のCPはぐんぐん溜まっていった。

 まさか……俺はアイリに興奮しているのか……?

 しかも、異常なまでに。

 これまで家族としか見ていなかったのに。俺ってやつは……。

 自分で自分のことが信じられなくなる。

 まあ、変態ショタコンドラゴンに比べれば、マシか。

 変態に育てられた俺もまた、同じ穴の狢ってことか。


「ほれほれ、今夜は寝かせんぞ? ようやくこの歳まで待ったのじゃ。ショタの魔力を開通させたあとは、精通のほうも我に任せるのじゃ!」

「いや全然上手く言えてないからな!? それ!」


 アイリはそのまま俺の上に馬乗りになると、強引に服を脱がせてきた。

 さすがは最上位のドラゴンだ。力ではどうやっても敵わない。

 それに、アイリは俺のすべてを知り尽くしている。俺も、アイリのことを知っている。

 俺たちは、お互いの中にどっぷり浸かって、嵌っていった。

 CPは、うなぎ登りに貯まっていった。

 いざその直前になって、アイリはまるで生娘のように顔を赤らめて、上目遣いで俺に言った。


「その……この先は我も初めてじゃから、優しく……の?」

「は…………? あれだけ俺を誘っておいて、お前初めてなのか?」


 数百年生きているドラゴンなんだから、てっきり百戦錬磨のお姉さんなのかと思っていた。

 でも、どうやらこの反応は、違うらしい。


「あ、当たり前じゃ……! 初めては本当に好きな人とって決めておったからの!」

「この処女ビッチのショタコンドラゴンめ! かわいいこと言いやがって! じゃあこっからは俺のやり返すターンだな!」


 俺はアイリの上に覆いかぶさると、一思いに襲い掛かった。


「レル……心から、我はお前が好きじゃ。家族としてだけじゃない。一匹の雄として」

「ああ、アイリ。俺もお前が好きだ。最上位ドラゴンじゃなく、今夜は俺の雌にしてやる」

「レル。好きじゃ。来てくれ」

「アイリ。もう、戻れないからな……!」

「レル……! れっる……! んん……ッつ♡」


 まるで二匹の龍だった。

 俺たちはウロボロスのように一体となって交わりあった。

 お互いの境目がなくなっていく。


「我を孕ませるつもりで腰を打ち付けるのじゃ!」

「い、いいのか……!?」

「我とレルは異種族じゃ。めったに孕まん」

「よ、よし……! オラ!!!!」

「いいぞ、その調子で世界中の雌を孕ませるのじゃ! そして我にお前に似たショタを抱かせてくれ」

「何言ってんだこいつ」

「多くの雌を孕ませる強い雄の遺伝子、我に注いでくりゃれ!」

「オラ! 孕め!」

「んんんんんんんんんッ……♡♡♡♡」


 俺はアイリの一番深い部分に欲望を注ぎ込んだ。


 そのまま一晩中、俺たちはベッドの上で過ごした。

 朝起きたとき、CPはとんでもない数値になっていた。

 身体の繋がりを得たことで、俺たちは本当に一つになれた気がした。

 今までもアイリが俺のすべてだったが、これからはもっと、そうなる気がした。

 それなのに――。




◆◆◆




 その三年後、俺が15歳になったころ。

 アイリが姿を消した。

 最初は、まあそのうち戻ってくるだろう、と思っていた。

 だが、それっきり、アイリが帰ってくることはなかった。

 俺は捨てられたのか……?

 いや、そんなまさか。

 なにか事情があるに違いない。

 俺はそこから1年ほど、なにも食べれずに、一日中を泣いて過ごした。

 すべてを失ったような、空っぽになったような気がした。

 もともとなにも持ってなどいなかったくせに。

 俺は、捨てられて、拾われて、また捨てられた。

 それだけの、ことだ。








――つづく。




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