机上の消火作業/お題:燃える発言/制限時間:15分
「燃えてるね……」
「燃えてますね……」
動画投稿者のための事務所で働く俺は、朝っぱらからパソコンの画面に張りついてSNSを凝視していた。隣で同じくパソコンを見つめている後輩がため息をつく。
「どうするんですか、これ。しなぱすさんとも連絡とれないし」
しなぱす、とはこの事務所に所属しているインフルエンサーで、チャンネル登録者数が100万人を誇る人気動画投稿者だ。そして、このしなぱすさんが今回の騒動の原因である。昨夜、しなぱすさんがSNSに投稿した文面が、燃えているのだ。
そう、文字通り、燃えているのだ。物議をかもす投稿により批判が殺到したわけではなく、物理的に燃えているのだ。
『油に火を注ぐ』
昨日しなぱすさんが突如投稿した謎の文面。今、この投稿は炎に包まれ、もはや限界をとどめていない。
「さっきからリプライで『水』を送ってるんですけど、一向に収まる気配がないんですよ」
「これはあれだな、他の投稿にも水を送って被害を減らした方がいい。俺は他のインフルエンサーさんに『水』を送っていくから」
「わかりました」
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