あの人の無言のフォローは優しさでもある/お題:静かなフォロワー/制限時間:15分
「相田さんって愛想悪いよね」
「わかる。笑ってるとことか見たことないもん」
昼休み、同僚のOL二人が昼食を食べながら話しているのを耳にしてしまった。正直、私も相田さんと仲が良いわけではない。彼女らが言っていたように、とにかく無愛想なのだ。コミュニケーションは必要最低限で、食事はおろか、ちょっとした雑談にすら応じない。こちらが話しかければ、適当に返事をして会話を切り上げ、にこりともせず去っていく。能力は高いが、一緒に仕事をしている身としては非常にやりづらい。普段からそんな振る舞いだから、同僚らにあんな言われようをされていても仕方がないだろう。
同日、急ぎで資料を作成しなければならなくなった私は残業を強いられた。うちの上司は理不尽である。社員らが帰宅するのを横目で見ながら、私は心の中で上司をボコボコにしてやった。
「……」
パソコンに向かう私の隣に誰かが立っていた。驚いて振り向くと、相田さんである。
「あ、相田さん?どうしました?」
「私、ここからここ作るので。そっち仕上がったら教えてください」
相田さんは無表情で自分の席に戻り、パソコンを打ち始める。呆気に取られていると、相田さんに早くやってくださいと催促された。相田さんなりの優しさ、なのかな。
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