鶴が9匹、亀が10匹、殺されたのが1匹/お題:黒い足/制限時間:15分

「鶴と亀が何匹かずついる」

「うん」

「頭の数を数えてみると20」

「ふむふむ」

「足の数を数えてみると61だった」

「ふむふ……ん?61?」

難しい問題があると言って突然挑戦状を叩きつけてきた友人の言葉をメモしていた俺は、思わず顔を上げた。鶴の足は2本、亀の足は4本であるから、奇数である61になるはずがないのだ。

「それ、間違ってないか?どう考えたって61にはならないだろ」

「言ったろう?難しい問題だって」

首をが傾げる俺に向かって、友人はぴんと人差し指を立てた。

「実は、亀の一匹が突然変異だったんだ」

「なんだそれ。そんなの問題として成立しないじゃないか」

俺が抗議しようとすると、友人は静かに首を振った。

「突然変異と言っても、三本足の亀だったわけじゃない。色が真っ黒だったんだ」

「色?」

「ああ。それを気味悪がった他の亀たちが黒い亀の足をちょん切ってしまったのさ。だから足の数が61なんだ」

「……」

俺はどうやらこれが算数の問題でないらしいと悟り、メモをとっていたペンを置いた。

「そして、足を切られた亀は間も無くして死んだ。つまり、鶴と亀の頭の数は19、足の数は58になった。これでようやく解けるようになっただろう?めでたしめでたしだ」

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