※この物語はフィクションです。/お題:暗い挫折/制限時間:15分
その夜は雨だった。男はどこか泊まれる場所を探していた。
「んー、なんかなあ……しっくり来ないんだよなあ……」
男は疲れていた。二、三日、ずっと歩き続けていて、疲労困憊といった様子だった。
「いや、これもなんか……」
男は
「ああ、だめだ!今日は書けん!」
メモに書いた文章を全選択でデリートする。書けない日は、何をやっても書けないのだ。それならば諦めた方がいい。
「でもこれで二、三日、何も書いてないんだぜ?あーあ、男は二、三日ずっと歩き続けてんのに、俺は二、三日なにもやってませーん!ずっとゲームしてまーす!あーあ、ゲームしよ」
誰に言うでもなく呟いて、俺はゲーム機を引っ張り出す。このところ、俺はずっとこうして現実逃避している。
「現実逃避、ねえ……昔は書くことが現実逃避だったんだけどな……」
書き始めた頃は純粋に楽しめていた気がする。それがいつしか、書かなければいけないという使命感になり、責任になり、義務になり、業務になり、現実になった。
「現実逃避するための手段が現実になったら、そりゃだめだよな。書けないわけだ」
ため息をつく。スランプ、なんだろうか。昔は溢れるように出てきた言葉が、今はもう絞り出すのですら辛くなってくる。
「短編ならって思ったんだけどなあ……」
頭の中に構想はある。いくつもある。まだ形になっていないアイディアが溜まっている。書けないのがもどかしい。いや、書けないことを認めたくないから書かないのか?どっちでもいい。書けないことには変わりないんだ。
「……飽きたな」
ゲームのコントローラーを放り投げる。飽き性なのがいけないのだ。なんとなく、スマホでツイツターを開いて眺める。適当にスクロールしていると、ある投稿が目に入った。
「即興小説……?」
なんだこれは。気になってリンクを押す。
「……おもしろそう」
で、この作品ができたってわけ。
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