恐ろしい治療/お題:破天荒な四股切断/制限時間:15分
「これは……」
俺の状態を一瞥した医者は渋い顔をする。モンスターとの戦いで重傷を負った俺は、仲間に運ばれて街で一番腕の良いと評判の医者の元へと運ばれた。俺の体には不思議な紋様が浮き上がり、全身に痺れるような痛みが走る。
「これは非常に強い毒ですね。このままでは毒が身体中をめぐり、最悪の場合死に至ります」
「そんな……せ、先生、何か、方法はないんでしょうか!」
痛みで意識がだんだんと遠のく中、必死な仲間の声が聞こえる。
「方法はあります。しかし……」
「せ、先生……俺は……生きたいんだ……。そのためなら、どんな方法だって……痛っ!」
「大丈夫!?」
モンスターに噛まれた左足に鋭い痛みが走る。皮膚の色が緑色に変色し、見るだけで気分が悪い。
「……わかりました。そんなに言うのでしたら、やりましょう。多少の痛みが伴いますが、我慢できますか?」
「この傷が治るのではあれば……なんだって……」
医者は黙って頷き、小走りに診察室の奥へと消える。しばらくして戻ってきた手には巨大な斧が握られていた。
「……は?」
俺と仲間が絶句していると、医者は自分の背丈の半分ほどはあろうかという斧を軽々と担いで、俺を見下ろした。
「方法はいたってシンプルです。まず、あなたの手足を切断します。それから、毒素を抜いた手足を縫ってくっつけるのです」
自分で、顔からさっと血の気が引くのがわかった。手足を斧で切断する痛みを想像して、一瞬、今感じている痛み全く気にならなくなる。
「いやいや、ちょっと……て、手足を切断って……」
「頑張ってね、私たち、応援してるよ!」
「ああ、頑張れ、お前ならできる!」
「え、ええ!?待って、待って、うわああああああああ!?」
医者が斧を振り下ろすと同時に、目の前が一気に白くなる。
「……あ、あれ……?」
目を開けると、そこは先ほどとは違う病室だった。
「あ、みんな、ようやく起きたよ!」
「あれ、俺は今……」
「お前、モンスターにやられて幻覚を見てたんだよ。もう意識は大丈夫か?」
なんだ、今のは幻覚か……。
その時、斧を担いだ医者が病室に入ってきた。
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