魔王の趣味/お題:フハハハハ!それはヒロイン/制限時間:15分

「姫、助けに参りました!」

ついに勇者は城の内部、魔王の間へと辿り着いた。趣味の悪い装飾が施された魔王の間には、口をふさがれた姫とその執事が囚われていた。勇者は、国王の命令により、魔王によって連れ去られた二人を助けにきたのだ。

そして囚われた二人の傍には、魔王が仁王立ちしていた。

「よくぞ来たな、勇者よ」

「御託はいい。はやく解放してもらおう」

勇者が剣を構える。決戦の時かと思われた時、おもむろに魔王が姫の元へと歩いていき、姫を繋いでいた金具を外しはじめた。

「……なにをしている?」

「解放してほしいのだろう?お前の望み通り、姫を解放してやろう」

自由の身になった姫は少しの間ぽかんとし、それから我に返ったように勇者の元へ駆け出した。

「何を企んでいる?」

「企み?ハッハッハッハ!逆に聞くが、いつから俺の狙いがその姫だと思っていた?」

勇者ははっとし、未だ囚われたままの執事へと視線を向ける。

「貴様……!」

「ヒロインはお前にくれてやる。その代わり、この執事は俺が美味しくいただくとしよう」

執事ががくがくと震えだす。

「ああそれとも……勇者、お前のことも食べてやろうか?」

勇者の顔からさっと血の気が引いた。

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