金の斧、銀の斧/お題:最強の湖/制限時間:15分

金の斧、銀の斧

湖の女神がきこりに問いかけた。

「あなたが落としたのは金の斧ですか?それとも銀の斧ですか?」

きこりは内心、しめしめと思った。「湖に斧を落とすと女神が現れる」という伝説はどうやら本当だったらしい。噂によれば、かつて欲張りなきこりが嘘をついてしまい、罰をくらったのだとか。しかし、正直に答えれば金の斧と銀の斧の両方がもらえる。きこりは溢れ出る笑みを抑え、答える。

「いいえ、私が落としたのは使い古されたぼろっぼろの斧でございます」

「使い古されたぼろっぼろの斧……もしかして、さっきのがらくたのことですか?」

「が、がらくた……?まあ、長いこと使っていますが」

「嘘、商売道具でしょ?はやく買い替えた方がいいですよ。あなた、歴代のきこりの中で一番お粗末な斧を使っていますよ」

「あの、はやく返してもらえませんかね?そのお粗末な斧を買い替えるためにも仕事をしなくちゃならないので」

きこりが催促すると、女神は肩をすくめる。実に女神らしくない動作だ。

「はいはい、わかりましたよ。では、正直者のあなたには、この金のショットガンと銀の弾丸を授けましょう」

「……は?」

女神が手慣れた動作で弾丸を装填し、ずぶ濡れになった金ピカのショットガンを渡してきた。

「さあ、今日からあなたは狩人です。じゃんじゃん獣を狩ってください!」

その言葉を最後に、女神は姿を消す。あとに残ったのは金色に光り輝くショットガンだ。

「思っていたのと違うな……」

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