女は怖い/お題:女同士のギャグ/制限時間:15分

「女ってのは怖いね」

「自分も女のくせに」

カフェで向かい合って座っている友人の里帆がそう言ったので、私は肩をすくめて返事をした。

「本当の話だよ。ほら、この前彼氏が浮気した時の話なんだどさ……」

「またその話?もう何回目よ」

「まあとにかく聞いて。で、私が相手の家に突撃した時だけどさ、相手の女なんて言ったと思う?」

「『まあ、そんな貧相な体じゃねえ。彼氏さんも物足りないだろうしい?浮気したって仕方ないんじゃないですかあ?』でしょ?」

「そう!そう!ひどくない!?あの女、ちょっとスタイルがいいからって調子乗りやがって!」

里帆が机をどんどんと叩く。以前にもこの光景を見たことがある気がする。

「まあまあ、落ち着きなって。そんなやつと浮気するようなクズ男と別れられてよかったじゃん。春人くん、だっけ?里帆も普段から不満あったんでしょ?」

「そうだけど……取られたことがムカつくの!」

水をぐいっと飲み干して、里帆はため息をつく。突然、私のスマホがブーっと音を立てた。メッセージだ。

「あ、ちょっとごめん。返信する」

「どうぞ」

ぶつぶつと愚痴を言う里帆をよそに、私は画面に写る文字を見る。「春人くん」……

「ふふ」

ようやく私のものになった。

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