第27話 キメラ討伐
トルーデさんを取り込んでいる
ゴリラの上半身が海底の岩を掴み、こちらへ投げてきた。
オレは軽く身を躱して避けると、鰐顔の前にテレポートして剣を全力で振り抜く。
剣先を口で受けようとした鰐の顎の付け根を真横に切り裂いていった。
切り離された顔の上部がドサリと海面に落ちた。
うげえ、断面が気色悪い。それに血もでないんだな。
二枚おろしにされた鰐の頭部は海面でまだビクビクと震えている。
激高した
先ほどの稲妻を撃たれるのは、面倒なので一気に剣を振り抜き真空波でユニコーンの角を切り落としていく。
これで攻撃手段は肉弾だけになったな。
角を落としたことで油断していたオレはゴリラの手に捕まってしまった。
ギリギリと握りつぶそうと
いい加減、面倒になってきたので、剣を構え直すと最大化している筋力を使って、トルーデさんの魔力によって繋ぎ止められている
海面に落ちていった
すでに、切り離された
これで、最後だ。
トルーデさんを取り込んでいた
片手にトルーデさんを抱いたオレは、
「んっ……んんっ! こら、貴様はどこを触っておるのじゃ! 妾がミチアス帝国初代皇帝トルーデ・ベッテガであることを知っていてのこの狼藉か?」
助け出すのと焼却に必死でトルーデを抱えていた右手が、彼女のそこはかとなく膨らんだ胸に触れてしまっていた。
それを見たトルーデさんがセクハラを受けたと勘違いしている気もする。
「ひぇ!? ち、違います。事故です。事故。ワザとじゃないです。そ、そうだ。とりあえずこれ着て下さい。オレの目のやり場に困りますから」
オレは着ていた制服の上着をトルーデさんに渡した。受け取った制服の上着を着たトルーデさんは小さな身体なのが、丸わかりになった。
要は、制服がダボダボでサイズが合わないのである。
「中々に良い心がけじゃな。気が利く男は嫌いじゃないぞ。これに免じて先程の狼藉の件は黙っておいてやろう。それに
見た目は一〇歳児の銀髪ツインテールダークエルフにしか見えないのだが、時々見せる仕草や目線はエスカイアさん達よりも、更に大人っぽさを感じさせ、妖艶とも言っていいほどの色気がにじみ出していた。
けれど、容姿はどう見てもロリダークエルフなので違和感が仕事をしまくってくれているのだ。
トルーデさんが九〇〇歳越えなのは確かなんだろうけど、ガツガツした肉食系ではなくて、包容力が感じられるタイプの女性だと感じていた。
人生九〇〇年も生きていると何に対しても鷹揚に構えられるのかな。
「なんとか今の自分ができる範囲で、できることを一生懸命にやりました」
抱き抱えていたトルーデさんは、オレの顔を抱きしめてくれて、頭をポンポンと撫でてくれた。
「よくやったのじゃ。街の被害が軽微に済んだのもお主のおかげなのじゃ。仕事のできる勇者は嫌いではないのじゃぞ。さて、ここからは妾が少しばかりお仕置きをせねばならん者がおる。テレポートで皇城へ飛んでくれるかのぅ」
トルーデさんは、街の人たちが逃げ込んだ丘の上の皇城を指差す。
「妾が魔獣の森で眠る前、あれだけ口を酸っぱくして領民を苛めるでないと忠告してやったのに、忠告を受け入れずに自らの取り巻き達だけに栄華を分け与えておったからのぉ。正直、妾が直接引導を渡してやろうかと思っておったところなのじゃ。そんなおりに過激思想に走った馬鹿貴族共が
「は、はぁ……」
俺は指示されるまま、皇城へ向かってテレポートした。
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