最終話 桜の下の再会

拓真の遺品を見て、由紀子はつぶやいた。

「沖縄に帰ってくる約束はどうなったの?」


手に持った遺品に、由紀子の涙が落ちた。


遺品の中には、遺書もあった。

遺書の内容は家族宛てであったが、追伸に由紀子へのメッセージが書かれていた。


「由紀子にもよろしくお伝えください。

 私はいつも空から見守っていると」


由紀子は空を見上げた。

空は青く、どこまでも澄み渡っていた。


あれから数年の歳月が流れた。


由紀子は、東京の九段下を訪れた。

千鳥ヶ淵の満開の桜を見ながら、由紀子は靖國神社に向かった。


大きな鳥居が目を引いた。

国のために命を捧げた宮里拓真は、ここに神として祀られているという。


参拝を済ませた由紀子の肩に、

1枚の桜の花びらが舞い降りた。

由紀子は、拓真が言っていた言葉を思い出した。


「戻らなかったら、俺は靖國神社の桜の花になっていると思ってくれ」


そういうことなのね……


由紀子は、肩に舞い降りた桜の花びらを、

そっと手に持ち、そして見つめた。



「拓真、おかえり……」



< 終 >

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約束の沖縄 神楽堂 @haiho_

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