第10話 約束の沖縄
パン!
敵兵の銃弾の一つが、宮里の腹部を貫通した。
宮里は倒れた。
まずい、立ち上がらないと……
そのとき、目の前に何かが転がってきた。
手榴弾だ!
宮里拓真の人生は、そこで終わった。
沖縄に帰ってくる……
宮里は、確かに約束を果たしたのだった。
沖縄県の読谷飛行場にて、宮里の二十余年の人生は終わった。
宮里の死後も、飛行場では日本軍空挺隊員と米軍飛行場守備隊との間で、激しい戦闘が行われていた。
倒した日本兵の荷物を調べていた米兵は、ある物を見つけて青ざめていた。
米軍パイロットが寝泊まりしているテントの位置まで詳細に書かれた地図だった。
日本軍はここまで調べていたのか。
やがて、読谷飛行場に海兵隊が駆けつけ、一人、また一人と日本軍空挺隊員が掃討されていった。
夜明けまでに、降り立った日本兵は全滅していた。
一方、
残念ながら、全機、撃墜されたようだった。
強制着陸には失敗したが、墜落した日本軍爆撃機が滑走路上で激しく炎上し、大混乱になっていた。
日本軍は、米軍の通信を傍受していた。
普通、軍で使う無線は暗号を使うが、嘉手納飛行場ではパニックになっていたのであろう。
暗号を使わずに通信を行っていた。
「嘉手納飛行場、使用不可。現在飛行中の航空機は洋上の空母へ着艦せよ。空母の位置は……」
軍事機密である空母の位置まで暗号を使わずに通信している混乱ぶりだ。
こうして宮里たちは、一定の戦果を上げることはできた。
が、誰一人として、生き残ることは叶わなかった。
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