第9話 読谷飛行場の戦い

強い衝撃が機体を揺らした。

着陸成功!

「突撃、5秒前……3、2、1」

扉が開いた!

機体はまだ完全には停止していなかったが、空挺隊員たちは降下訓練で身につけた着地法を使い、ケガなく滑走路に転がり降りる。

まずは煙幕だ。

発煙筒を炊いて、大量の煙を発生させ、身を隠す。

宮里は、その間に機関銃を構えた。

機体周辺を制圧しなければならない。


煙がだんだん引いてきた。

驚いた米兵がこっちを見ている。

いったい何が起こったのか、理解できていないようだった。

宮里は機銃掃射を行い、付近の米兵を一掃し、反撃に備えて身を低くする。

着陸した機内から、続々と空挺隊員たちが降り立つ。


宮里は、1台のジープが駆けつけたのを見た。

状況を調べに来たのだろう。

宮里は機関銃で掃射する。

ジープから降りた米兵は、拳銃で反撃してきた。

しかし、火力で分が悪いと判断したのか、再びジープに乗ると、管制塔に向かっていった。

日本軍機の強制着陸を、司令官に伝えに行くのだろう。


宮里も、管制塔の方へ走り出した。

ジープはやはり、管制塔近くで止まった。

先に管制塔に向かっていた空挺隊員が、それに気づき、米兵と銃撃戦になる。

あれは山本だ。

待っていろ、今すぐ応援に行くからな。


しかし、山本は撃たれ、倒れてしまう。

ジープから降りた米兵は管制塔に入っていった。

そのとき、山本の体が爆発した。

死ぬ間際に、手榴弾を作動させたのだろう。

あいにく、被害を与えることはできなかったが、山本の執念を感じた。


宮里は、管制塔を見上げる。

さっきの米兵が、電話を使っているのが見えた。

状況が報告されてしまった。


その米兵は、管制塔から出ると、滑走路を照らすために探照灯を点灯させた。

今がチャンスだ!

宮里はその米兵を狙撃した。

命中!

米兵は倒れた。

続けて、探照灯も破壊できた。


次に宮里は、地上の敵機の破壊工作に移った。

手早く手榴弾を取り出すと、次々と敵の戦闘機のエンジンに投げ入れていく。

模擬戦とは機体の並び方が若干、違っていたので、多少手間取ったが、5機を破壊することに成功した。


宮里の足下に、たくさんの銃弾が飛んできた。

敵兵に発見されてしまった。


宮里の近くには、すでに炎上している敵機が並んでいる。

敵は、自軍の機体に銃弾が当たることを気にせずに撃ってくる。

ここにいたら殺される。


そう思った宮里は、まだ炎上していない敵の爆撃機の方へ向かった。

さすがに、敵は撃ってこなかった。

爆撃機が爆発すれば大変なことになることくらい、分かっているのだろう。

宮里は、磁石型の爆弾を爆撃機に取り付けると、次は資材置き場の方へ走った。

背後で、激しい爆発音が聞こえた。

爆撃機には燃料や爆弾を積んだままだったのだろう。

大爆発を起こしている。


敵がまた、銃弾を浴びせてくる。

宮里は、焼夷剤を出すと、次々に倉庫に火を付けた。

またたくまに大火災が発生する。


煙に紛れ、宮里はさらに奥へと向かった。

そこには、たくさんのドラム缶が並んでいる。

燃料だ。

時限爆弾を設置し、走ってその場から離れる。

大爆発の音と共に、背後に熱風を感じた。


燃料タンクは次々に誘爆していく。

辺りは真昼のように明るくなった。

宮里は、その明るさに乗じて、方位磁針を取り出して方角を確認した。

北東の山地に入り、ゲリラ戦を展開することになっていたからだ。

北東はあっちだ。


確認した宮里は、再び走り始めた。

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