第8話 米軍の対空砲火

沖縄本島が見えた。

ここで、読谷よみたん飛行場へ向かう4機と、嘉手納かでな飛行場に向かう4機とに分かれる。

宮里の乗る機は、読谷飛行場への強行着陸を行うことになっていた。

飛行場が近づいてきた。

さすがに、米軍に察知されたようだ。

対空砲を撃ってくる。

空を飛んでいる飛行機に大砲の弾を当てるのは至難の業だ。

なので、対空砲の砲弾は、空中で炸裂するようになっている。


宮里たちが乗る爆撃機の近くで、砲弾が炸裂した。

機体が吹き飛ばされ、大きく傾く。

が、衝撃だけで済んだようだ。

飛行には問題ない。

続けて、近くで何発も炸裂する音が聞こえる。


急に、1番機が爆発した。

高射砲の弾が直撃したようだ。

低空飛行は、レーダーに発見されづらいというメリットはあるが、

地上からの攻撃を受けやすいのが欠点だ。

機体にはたくさんの爆弾も積んである。

1番機は、搭載している爆弾が誘爆したのか、大爆発を起こして夜空に消えていった。


宮里の足下の床から、轟音が鳴る。

地上からの機関銃の弾が命中したようだ。

着陸するまで、機体はもつのだろうか。


2番機が炎に包まれた。

燃料タンクに被弾したようだ。

そのまま、隊列を離れていく。

暗い森林の中で大きな炎が上がったのが見えた。

あっという間に、2機が撃墜されてしまった。


「着陸はまだか!」


「もう少しです!」


そのとき、3番機が被弾した。

宮里は窓を見る。

3番機は速度が落ち、どんどん高度が下がっていく。

これまで一緒に訓練を重ねてきた仲間が乗っている。

ここで墜ちたら、あの訓練は何だったんだ!

宮里の目に涙があふれた。


3番機は炎を上げながら、敵の高射砲陣地に突入した。

途端に大爆発が起きる。


敵の陣地は跡形もなく吹っ飛んだ。

搭載していた爆弾と、敵の高射砲の爆弾とが誘爆し合って、飛行場は真昼のように明るくなった。


「降下、30秒前!」

早く降下しないと、4番機も撃墜されてしまう。

宮里たちは、装備を確認し、扉の前に待機した。

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