第7話 敵飛行場に強行着陸せよ!!
その頃、沖縄では上陸してきた米軍との、激しい地上戦が行われていた。
高等女学校の学生であった由紀子は、学徒隊として動員されていた。
由紀子の仕事は、陸軍病院での看護業務である。
手足を吹き飛ばされた兵士に、包帯を巻いたり、傷口にわくウジ虫を取り除いたり、動けない兵士の食事や排泄の世話を献身的に行っていた。
重傷の兵士を見るたびに、拓真はこんなことになっていないか、由紀子の心配は増す一方であった。
拓真は約束してくれた。
沖縄に戻ってくると。
由紀子はその言葉を信じ、心の支えにして毎日の勤労に励んでいた。
昭和20年5月24日。
宮里たちの出撃の日がきた。
12機の重爆撃機が熊本の健軍飛行場から飛び立つ。
すっかり日が暮れて、あたりは真っ暗である。
無線を使うと、敵に出撃が分かってしまうため、操縦士は計器を頼りに沖縄へと機体を向ける。
12機100名以上の大部隊であったが、途中で4機がエンジン不調のために引き返すことになった。
それでも、8機は沖縄本島に向けて飛行を続ける。
海面すれすれの低空飛行だ。
練習飛行では、鳥にぶつかったり、
波でプロペラが破損したこともあった。
操縦士たちは猛特訓を重ねており、海の上を敵に発見されることなく飛行することができた。
宮里たちが乗る4番機には、航空要員が2名。空挺隊員が8名乗っている。
皆、体中に武器や爆弾を身につけている。
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