第6話 遺書
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お父様、お母様、お元気ですか。
私は、毎日、訓練に励んでおります。
戦局は一段と厳しいものになって参りました。
こんな若輩者の私も、お国のために命を捧げることができることを光栄に思っております。
今日の空は、美しく晴れています。
この空の向こうに、お父様、お母様がいらっしゃることを考えると、胸が熱くなるのを覚えます。
わずか20年あまりの人生ではありましたが、私には長く感じられました。
しかし、お父様、お母様とお別れするにあたり、もっと親孝行しておけばよかった、ということだけが悔やまれます。
随分、やんちゃもしてしまい、ご迷惑をおかけしました。
お父様と、もう一度、剣道の稽古をしとうございました。
お母様の作る手料理を、もう一度、食べとうございました。
親より先に逝く不孝を、どうかお許しください。
お二人とも、お体に気をつけてお過ごしください。
第三空挺隊 少尉 宮里拓真
追伸
由紀子にもよろしくお伝えください。
私はいつも空から見守っていると。
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