第5話 沖縄に出撃せよ!!

帝国陸軍の威信をかけた、大作戦である。

九七式重爆撃機が次々に健軍飛行場に舞い降りてくる。

その数、なんと12機。

これに乗って出撃するのだ。

1機の飛行機には、航空要員が2~3名、空挺隊員が10数名乗り込む。

12機で出撃するのだから、総員100名以上の大部隊による出撃だ。


隊長は、作戦内容の確認を行った。

「我々は12機に分乗して、現在、米軍が占領中である読谷飛行場と嘉手納飛行場に、を行う」


空挺部隊といったら、普通は落下傘パラシュートによる降下を連想するだろう。

しかし、沖縄の制空権は敵に握られている。

うかつに航空機で近づけば、すぐに撃墜されてしまうのだ。


敵に発見されないよう、夜間に侵入する。

普通に飛べば敵のレーダーに発見されてしまう。

そこで、海面すれすれの高さを飛行することになった。


低空飛行では、落下傘を開いての降下は不可能。

敵飛行場に強行着陸して、直接上陸するのだ。


出撃する隊員たちは、それぞれ遺書を書いて上官に預けた。

宮里は複雑な思いだった。

家族や恋人は、今から出撃する沖縄にいるのだ。

本当であれば、直接会って渡したいところだ。

現在、米軍が上陸中である沖縄に、自分が書いた手紙が届くのはいつなのだろうか。


宮里は、筆を執った。

そして、紙にこうしたためた。

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