第3話 本土に迫る米軍

どうやら、戦局がさらに悪化し、サイパン出撃の拠点となる硫黄島が、米軍の攻撃を受けているとのことだった。


硫黄島に上陸した米軍は、多数の小型戦闘機を配備してきた。

B-29を護衛するための戦闘機である。

戦闘機は小型であるため、航続距離が短い。

そこで、日本本土に近い硫黄島に、

敵は多くの戦闘機を配備したのだった。


空挺部隊は、作戦の変更を余儀なくされた。


「我が空挺部隊は、硫黄島の飛行場に降下し、地上の敵戦闘機の破壊工作を行う」


訓練内容も、任務に合わせて変更された。

戦闘機は、爆撃機に比べると小型である。

手榴弾を機体の隙間や、エンジンに投げ入れることで破壊ができる。

さっそく敵機の模型を使い、手榴弾を投げ入れる訓練を行った。

手榴弾を着実に投げ入れないと、跳ね返って出てきた手榴弾に自分がやられてしまう可能性がある。


元々、精鋭部隊として編成されている空挺部隊であり、選ばれし者としての誇りもある。

訓練は皆、真剣に行っていた。


いつ出撃命令が出ても大丈夫。

皆、自分の力量に自信を持っていた。


しかし、出撃命令が出る気配はなかった。

軍の上層部は、硫黄島の奪還は絶望的と判断したのだった。

日夜、こんなにも特訓を重ねているのに、自分たちの活躍の場がない。

部隊内の不満が高まってきた。

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