第25話 ストロベリームーン、Lost Memoly
「辰一君。薬の時間だよ」
星朧の夜の底、巡回に来た看護師から心配され、眠れぬ僕は黙って掌握されるように薬を飲んだ。
この看護師さんも僕の内情を知っているんだろうか、と疑念を塞ぎながら僕は一粒の薬を飲み、窓際のカーテンを閉めた。
菜の花も恋しい、夜と遊ぶ朧月はそんな世間から見捨てられた十五歳の僕を見守ってくれた。
母さんの記憶。
七歳のときに二人で東京タワーから夜のイベントもかねて、ストロベリームーンを見に行った。
あの日は確か、数奇も見紛う、十五夜だった。母さんは月には兎がいる逸話を僕に教えてくれた。月に住む兎さんは寂しくないのかな、と僕がつい零すと母さんは言った。
『地球からみんなが見守ってくれるから寂しくはないわよ』
その帰り際、二人でファミリーレストランに行って夕飯を食べた。
そんなに贅沢はできなかったけれども、僕はその日が心行くまで楽しんだ。
僕の家には母さんと僕しかおらず、たまに母さんの知り合いの高校教師の男が家庭を陣取っていた。
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