第20話 これが僕の日常


ネットで検索して、何度、確認しても罵詈雑言の大嵐だった。僕


らの障害に少なからず良識のない一定数の者もいるらしく、希臘神話も小馬鹿にしたような命名の、ナントカ症候群と罵り、凶悪事件を起こした、鬼の異名を持つ、少年Aと烙印をする輩もごまんと蔓延っていた。



プロの作家は感性が絶大にある、と過信しているほうがおそらくは、多数派なんだろう。


僕がどんなに数多の詩集を読んでも、この病棟では褒めてくれる医療従事者なんて少しもいなかった。


むしろ、言葉の機微が分からないとされる障害を持つ僕が好んで詩集を読むから、陰で罵倒する者もいた。



つい、泣き疲れて、無理やり保護室に連行され、そこで激しい暴行を受けた。


痛くもなかった。


これが僕の日常だったから。


とある作家は僕の悪態めいた日常生活をどう、揚げ足取りをするのだろう……。



ふふふ、楽しみだな。


架空設定とはいえ、罵倒されるのが。


指人形を脳内の劇場に配列されて、馬鹿らしく、指人形同士が僕を嘲るのが。



当たり前じゃないか。病室で縊死しようと決行したが、首を吊ろうとしたその場で男性看護師に見つかって、大騒ぎになったから。


首吊り自殺に使用したはずのパジャマの紐がぶらぶらと換気口にぶら下がり、妙に違和感があった。


 

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