第10話 青いフラッシュバック


今夜の悪夢の一限目。


カウントダウン、いざ、火蓋を切り給え。


――小さかった僕があのアパートの一室でほぼ裸にされ、新規の顧客を待ち侘びる、博打女郎のように厭らしく、白光と差し込んだ照明の下で寝かされていたのは、何時ぞやの晩だったか。



目線の先にはあいつが興奮を押さえつつ、獲物を吟味する大蛇のように赤い眼で、今か今かと見定めている。


あいつは僕の白雪のように未熟な裸体を思う存分、鑑賞しているのだろう。



しばらく、荒々しく制服の学ランを乱れ、その少しだけ、脱がした後、適切な居場所である、美術館での絵画鑑賞でもするかのように、あいつはまじまじと観察した。



その右手にはスマートフォン。


荒々しく鼻息を揺らしながら、あいつは我慢が出来なかったのか、黒いカバーに入った、スマートフォンを持ったまま、僕の身体を撫で、弄び、しまいにはその戯れは余計にヒートアップしていく。



声変わりを済ませたばかりの僕はどす黒い隷属を鵜呑みに、恋廓にたむろする陰子のようにあいつの淫靡な意図を手招いてく。



「辰一君は素直な子でいい」


 あいつの腐臭漂う鼻息が僕の頬に当たる。


「こんな素直な子は初めてだ」


 

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