第41話 ちょっとした宴会!?
一旦西棟を出るまでを話し終えた。
今、思い返しても長い旅じであったと改めて感じた。
「改めて思うとよく生きて西棟を出でこれたよな」
冷たい水出し緑茶を飲み干すと、セレスシスさんは感慨深く語る。
「プハー、水出し緑茶はうまいのだ。美春ちゃんおかわり!」
「はいはい」
「またこうして昴の家に来れたのも、昴が居なかったら叶わなかった。ありがとう」
「俺は潜入はしたけど、後半はエレナちゃんやセレスシスさんに助けてもらってばかかりだったよ。二人ともありがとう」
「どういたまして。別に気にする事ないさ、あそこで昴が来てくらなかったら、軟禁状態のままだっだたさ」
「えーエレナちゃんへ感謝は?」
「おう、ちびっ子もそこそこ頑張ったぞ」
「そこそこかよ」
エレナちゃんはセレスシスさんにビシッとツッコミを入れた。
笑う三人とは違い暗い顔を知ている人か一人。
「私は何もできなかった。最初に昴に会った時から、私は助けられていたばかりだった……」
「気にすんなって、一緒に軟禁された中じゃないか」
「セレスシスは私のせいで軟禁されたわけじゃないですか」
「あれ、そうだったっけ」
「私が巻き込んでしまいました」
ララは恥ずかしそうにモジモジしながらセレスシスさんに寄り添っていた。
「大丈夫。ララは私をはじめ、昴たちみんなが守るよ」
かっこよくキメるセレスシスさんは、ララをギュッと抱きしめた。
一瞬ララの瞳から涙が出て溢れた。
俺はこんな時、ララを支えられずに見ていたことに悔しがる。
「さてみなさん、しんみりしちゃいましたが、せっかくなのでお帰りパーティーをしましょうよ」
「美春ちゃん、それ賛成! 残りの日本酒がまだあるはずだから、準備もバッチリ」
「お前は酒だけか! 料理も用意せんのか!!」
エレナちゃんのツッコミが関西人ばりに冴える。
「実は、いつ戻ってきてもいいように、下ごしらえは済んでいるです。あとは焼くだけの状態」
「よっしゃ、酒だけの女と思われがちだからな。美春ちゃん料理を手伝うぜ」
「どうせ酒のつまみだけ作るんだろうが」
「さて、それはどうかな」
セレスシスさんは目をキランとさてから包丁を手に持つと、器用に回転せてみせた。
「料理の虎の異名をもつ私だぞ」
「何だって料理の虎だと、それなら私は料理を食べるビーバーを異名を持つエレナちゃんだぞ」
どこからか出してきたのか、ナイフとフォークを回転せて両手に握りしめている。
謎のポージングのまま睨み合う両者。なんか妙な闘いになってきた。
「私の素晴らしい料理をビーバーごときが、たえらげるとでもいいうのかね」
「間違ってなければ、虎が料理を作るとか、粗末な料理でも食べてあげてあげなくはないわ」
二人は謎のポージングを仕切にチェンジしながら睨みあっっている。
中二病じゃあるまいし正直やめてほしい。
──コンコンコンコン
けたたまし音が鳴る。
「はいはい、二人ともそこまで、料理作るから手伝ってくれるかな」
中華鍋とお玉でコンコン叩きながら、美春は終始和かな笑顔で二人を止めた。
裏の顔には『朝っぱらからわけわかんない事言って迷惑なんだよ』と匂わせていた。
二人は素直に変なポーズをやめて、料理を作るべくキッチンへ向かった。
さすが美春。気迫だけであの二人を止めたぜ。
しかし、あの三人は何を作るんだ?
「ねえ、昴。やっと二人っきりになれたね」
「え? なんか言ったか」
「言ったよ。それじゃあ改めて懐かしい家の中を案内してもらおうかな」
「案内するにしても先日来た時と変わらない普通の民家だぜ。大層豪華な仏像や掛け軸なんて無いしさ……」
「それで良いの。懐かしいこの家をゆっくり見ておきたいの」
お嬢さまの考えることはわからないや。地球の田舎の家なんか見たところで……でも、さっきから懐かしいって言ってたよな。
この家に来た事があるのか?
まさかな、そんなことがあるのか。以前地球に訪れた時によく似た家に来たことがあるんだそうな。
そう思いながらもララを案内していく。
ひと通り一階を案内したところで、二階へと上がっていった。
「ここが姉貴の部屋と言っても、今はいないんだ」
「プラネタリウムの機械はまだあるんですの?」
「姉貴の部屋にプラネタリウムの機械があるなんてよく知ってるね」
「昔に見せていただきましたから」
「ふーん、そうなんだ……え? 今なんて言った」
「ですから、彩星さんにみせてもらいましたもの」
俺は凍りついた。
懐かしいっていうのは本当で、ここにきたこともあるんだ。まじかよ。
「よかったら、見せてもらえまえませんか?」
「なっ何を見たいの」
「プラネタリウムです。さっきからその話をしていたではありませんか?」
「あぁ勿論いいよ。準備するから待っててt」
俺はプラネタリウムが閉まってある収納棚を漁り出した。
その時、部屋の入口から声がした。
「二人とも見当たらないと思ったらココにいたのね。ご飯の準備できたよ」
「せっかく作っていただけたので、昴、プラネタリウムはまたの機会にしましょ」
そう言うとララは部屋を出て行った。
俺はそのままでもプラネタリウムの機械を探している。
「二人で何してたの?」
「ララがプラネタリウムを見ようとして探していたんだ」
「あっ、なんか懐かしいね。よく小さいころによく見ていたね」
「そうだね。おねーちゃんが解説していたな」
「そうそう、彩ねーの先生もなつかしいね……あと何か忘れているような」
「そのほかにも何かあったかな? おー見つけたプラネタリウムの機械」
それは最近の丸型の家庭用と比べると、二足歩行のロボット様にも見える古めかしいデザインの器械。
これは彩星が毎号集めると、プラネタリウムが作れる雑誌で作り上げ機械だ。
作って一0年以上たつがまだ動く優れ物。
さて、ララはなんでこれの存在を知っていたのだろうか。
「折角だから後で動かしてみようよ」
「そうだな、埃に被っていても可哀想だからな」
愛おしく撫でるように被っていた誇りをふいた。
「さて、昴もご飯にしよう」
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