第3話 歓迎会なのに浮きまくり?これは食べるに徹するか
その後、親睦会も兼ねた夕食会が食堂にて始まる。
立食形式だったこともあり、星談義があちこちで行われていた。
俺は彩星と家族の近況を話していた。
正月に一度帰ってきたきり帰っていないので、母が心配していたことなど、たまには顔を見せるように促した。
手持ちの皿の食べ物がなくなったので取りに行くと、美晴が近づいてきて泣きの一言が入った。
「う~ん。昴、今日の観測わかる?」
「ある程度は理解できたけど、姉貴が正月に帰ったときに話してくれた内容がなかったら、もっとわからなかったよ」
ちんぷんかんぷんな表情を浮かべる美晴。
ただ、正直に結構難しい。俺は少しだけ聞いていたから、なんとなく理解していた。まさか正月の会話はコレを予測していたのかな?
「ちょっと星の名前とか知っているだけの高校生には無理ないさ」
「准教授は、すぐに理解できていなくても大丈夫とか言われても、正直レベルの高さについて行けないよ」
美晴は皿にローストビーフとサンドウィッチ、唐揚げ、ポテトサラダをせっせと盛りながらぶつぶつ言っている。
だいぶ食べるな。美晴、太っちょさんになるぞ。
「彩星の部屋を掃除しながら、今日のことを聞いてみよう。そうすればもう少し理解できるようになるさ」
「そーだね。彩ねーなら気軽に聞きやすいしね」
「アンテナのプログラムも姉貴ならわかるだろうしって、さっきまで居た姉貴の姿が見えないな」
さっきまで彩星が居た場所を見たが姿がなくなっている。
トイレとか……。いや彩星のことだから、なにか思いついて研究室に向かったのだろう。彩星とはそういう人だったな。
「そうそう、彩ねーはできる女ってヤツだよね。憧れちゃうな」
美晴の言葉を聞き、改めて彩星が宇宙や星のことが本当に好きなんだと感じる。天文の熱狂ぶりは尊敬に値する。
親睦会は恙無く終了し各自自由時間となった。俺は昼間の汗だくになった体を洗いに風呂へ向かうことにした。
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