ドキドキ買い出し編~太雅君サイド~

 ―拝啓、お父様お母さま。あ、あと悠真とか他の友達様も。


「ほわわ~、太雅さんとお出かけですわ。買い出し、楽しみですわね!」


「あ、う、うん。そ、そうだね!!!」

 ―俺は夢を見ているのかもしれません。しかも、凄く良い夢です。


「ほわ~、まずは、スーパーからですね~。卵と、ソース、それにマシュマロとお肉、その他もろもろ……ほわわ、行きますわ、太雅さん。太雅さんと二人で買い出し、頑張りましょうね!」


「う、うん! い、行こう天間さん! い、行きましょう!!!」

 ―あの憧れで大好きな女の子、天間音夢さんが俺の事を買い出しのパートナーに誘ってくれて、それで……俺は明日、死ぬのかもしれません。


 ―何でこんな素晴らしいことに……あ、そうか。これが創立祭ドリームか。



 ☆

《少し前》


「悠真~、元気ないぞ? 大丈夫か?」

 創立祭準備期間2日目、俺―簑島太雅は、なんだか元気のない友達の悠真を慰めながら、色々と作業を行っていた。


 悠真は幼馴染の高田さんと付き合うんだと思ってたけど、最近はクラスというか学校のアイドルの藤井さんと仲が良くて……ん~、羨ましい! そして腹立たしい! でも友達だから、元気がないのは心配!!!


「アハハ、大丈夫だよ太雅……うん、大丈夫」

 という事で、心配なので悠真にそう聞いてみるけど、帰ってくるのは言葉とは裏腹に全く元気のない言葉。


 その目の奥はかなり絶望とか不安で押しつぶされていて、でもそこには触れられたくないようで……う~ん、なんか大変そうだな、悠真も。

 悠真かなりのモテ男だけど、苦難もあるのか……聞かれたくないなら、聞かないのが友達……いや、親友としてはベストな選択肢だよな!


「……まあ、親友としては色々心配になるけど、悠真がそう言ってるならいいか。あんま無理するなよ、悠真!」


「うん、ありがと……ありがと、太雅」

 俺の言葉に悠真はそう弱弱しく笑う。


 何があったか知らないけど、無理しちゃダメだぜ、悠真……冬に高田さんとの惚気話いっぱいしてくれたように、またそう言う話いっぱいしてくれたら俺は嬉しいぜ! まあ、怒りのボルテージも溜まっていくけどな!


 まあでも、俺的にはそう言う悠真の方が好きだし、だからまた……というか、俺は悠真と高田さんに、やっぱりくっついて……

「すいませ~ん、お二人さ~ん……と、特に太雅さん。ほ、ほわ~……す、少しお時間よろしいですか~?」


「……? ……!?」

 親友の事を色々考えていると、頭の上からふんわり甘くて柔らかい、マシュマロみたいな声が聞こえる。そしてその声は、俺の事を呼んでいるようで……え? この声って……えぇ!? 


「ほわ~、太雅さん。少し、よろしいですか?」


「……! お、俺!? え、え、えっと……てんちゃ……て、天間さんが俺に何か用ですか!? て、天間さん!?」

 な、何で天ちゃん……天間さんが俺に話しかけてくれてるんだ!?

 俺、天ちゃんの事大好きだけど、全然話しかけられてないし、今回の創立祭もあきらめムード……それなのに天ちゃん間さんの方から話しかけてくれるなんて何事デスカ!?


「ほわわ、太雅さん。えっと、その……わ、私と買い出し、行きませんか? ほわ、二人きりで買い出し、しませんか!!!」


「……え!?」



 ☆


 ―そんな創立祭ドリームとしか言えないような出来事が起こって。俺と天ちゃんが二人で買い出しに行くことになって。ドッキリかと思ったけど、そんなんじゃなくて、悠真も「行って来いよ!」って笑顔で送り出してくれて。一人でこの作業はする、だからデート楽しんで来い……そう、背中を押されて。


 ―念のため、「大丈夫だって」って笑う悠真に何度かほっぺつねって貰ったけど、やっぱりめっちゃ痛かった。つまりこれは現実で、俺はこうして天間さんと……うわっ、横顔キレイ、もちもちふわふわ可愛い、雰囲気大好き! 全部好きだ、言えないけど! やっぱりめっちゃ好きだ、天ちゃん!!!


「ほわ~、太雅さん? 私の顔、何かついてますか?」


「え、て、天間さん!? べ、別に何もついてないですよ、大丈夫だよ!!! アハハ、大丈夫大丈夫!!!」

 やっばー、天ちゃんの事じー、っと見てたのバレちゃった! 天ちゃん可愛すぎて、ほわほわで夢みたいで、ずーっと見てたのバレちゃった!!! 


 どうしよう、これで俺の事不審がったり、嫌いになったり……ああ、めっちゃぷく顔なってる、真っ赤なりんごみたいなもちもちほっぺを膨らませてる! 

 ヤバい、可愛いその顔! 可愛すぎるって、やっぱり俺の大好きな天使……ってこんな事考えるんじゃありません、嫌われたいのですか!?


「ほわわ~、太雅さん? そんな頭ぷるぷるしてどうかされました?」


「い、いや大丈夫! 天間さん、大丈夫だよ!!!」


「ほわ~、またですわ! また天間さんって呼んでますわ! そんな堅苦しい呼び方嫌ですわ、いつもみたいに天ちゃん、って呼んでくださいませ。ほわわ、私は太雅さんにそう呼ばれたいですわ」


「え、いつも……え!?」


「ほわわ、太雅さんの事はいつも意識してますので、聞こえてきますわ……ほわわ、わたくしの事、天ちゃんって呼んでくれてますわよね? ほわ~、私は、太雅さんに直接そう呼ばれたいですわ」


「ほわ……て、天ちゃん……ほわぁぁ……」

 え、何この神イベント!? 

 天ちゃんが俺にそう呼ばれたいって、しかも俺の事意識してるって……え、どう言う事、どう言う事!?


 俺は天ちゃんの事大好きだからもちろん意識してるけど、天ちゃんも俺の事……え、えぇ!? 天ちゃんも俺の事意識してくれて、それで……やばい、思考がぐちゃぐちゃだ、全然まとまらない! 全然わかんないよ、ぐちゃぐちゃだよ!!! ほわわ~、誰か助けて~、ほわ~?


「ほわわ~、太雅さんが私の真似してくれしてましたわ、嬉しいですわ~! 太雅さん、ほわわ~! 一緒にほわほわしましょう、太雅さ~ん」


「え、ほわほわ? 天ちゃん、ほわほわ……ほわ~!」


「ほわ~!!! 嬉しいですわ、太雅さんが私と同じことしてくれていますの……ほわわ、太雅さんと一緒、とっても嬉しいですわ!」


「ほ、ほわ~! ほわわ~!!!」

 嬉しいのはこっちですよ、天ちゃん! 嬉しすぎて頭ほわほわだよ、マジで何も考えられないよ、俺どうなっちゃうんだよこれ!?

 一緒が嬉しいって、それ俺の事……ほ、ほわ~!? ほわわ~!!!


「ほわ~、私も太雅さんと同じように机の上にツーショット写真おきましょうかね~? ふふふっ、壁中に写真は貼ってますし、太雅さん抱き枕とか、太雅さん掛布団とか、太雅さんフィギュアとか色々置いてますけど、ツーショットの写真はなかったですわ~……ほわわ~、この機会に机に置きましょうかね~? 太雅さんとお揃いにして、それで……ほわ! ほわわ~」


「ほわ~……え、お揃い? なんで俺の部屋……ていうか、俺抱き枕って……」


「ほわ~、太雅さんほわわ……ほわわ!? い、いえ、何でもないですわ、気のせいですわ、太雅さん! 何も言ってませんわ、ほわわですわ! 太雅さん、ほわわですわ、ほわわ~。ほわ~、買い出し行きますわ、太雅さん! ほわわ~」


「ほわわ~、ほわわ~! そうだね、天ちゃん! 行こう、買い出し、行くよ……ほわわ~!!!」

 なんか不穏な言葉が聞こえたような気もするけど、ほわほわ楽しいからもうまんたい! 天ちゃんが可愛いし、そりゃもう天使みたいなほほえみだからもうまんたい!

 ほっぺ真っ赤で、イチゴみたいで可愛くて女神様だから無問題!


 天ちゃんと一緒で、ほわほわ……ほわ~、今幸せだ! 俺今、幸せだ!!!

 心がほわほわして、ほわ~ってなって……ほわ~!!! 全然頭は回らないけど、これが幸せってやつだ! 二人で買い出し……実質デート、楽しむぞ、ほわ~!!!



「ほわ~、太雅さんと買い出し、二人で……ほわわ、制服でーと……ほわわ~」

 ―太雅さんと制服でーとなんて、最高ですわ、心のほわほわが高まって止まりませんわ! ほわ~、どうしましょうか!?


 ―制服でーとって事は、でーとした後、お家行ったり、そのままラブでしゅきしゅきなホテルさんで、一緒にお風呂で、ベッドで……ほわ、ほわわ~! 太雅さん、いけませんわ、そんな激しく、私気持ちよすぎて……ほわ、ほわわ~!!! ほわわ~!!! 太雅さん、しっかり私に……ほわわ~!!!



 ~~~


「ほわ~、お肉お肉……ほわ、このお肉お安いですわ! 太雅さん、これにしましょう! ソースもお肉もましゅまろもお徳用の大きいのがありましたわ~、これは心がほわほわですわ~、ほわ~!」


「ほわ、そうだね、天ちゃん! これが良いね! これにしよ、お得パックだ!」


「ほわ~、これはみんな喜んでくれるでしょう……ほわわ、ほわ~……ほわわ~」


「ふふっ、そうだね……ほわ? どうしたの、天ちゃん? ほわわ?」


「ほわ、その……こうやって二人で買い物してると、私たち新婚さんに、見えるのかな、って思いまして。私と太雅さんが新婚さんみたいに見えて、ラブラブに……ほわ、ほわわ~! 太雅さんと私、ラブラブ新婚さん……ほわわ~!!!」


「……ほわっ!?」



 ★★★

 明日ご報告があるかも。

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