おまけ 秋穂さんの心配
「ん~、悠真君! 悠真君しゅきしゅき大好き! 悠真君のここ、すごく温かくてほわほわして幸せな気分になるよ、ホント好き……はうぅ?」
「ふふふっ、秋穂さん。そんなこと言われると俺だって楽しく……ってあれ? どうかしましたか?」
「……悠真君って私の事、本当に好き? 本当に私の事、好きですか?」
「え? きゅ、急にどうしたんですか秋穂さん?」
アイスを食べ終えてん~、と俺の足の間でリラックスしていた秋穂さんが、急にハッと何かを考えるように首を傾げた後、心配そうな口ぶりと表情でそう聞いてくる。
その目に小さな顔に映るのは不安で心配できゅーっと震えてしまっているようなそんな色で、こっちまで不安になるようなそんな色で。
ど、どうしたんですか本当に?
さっきまでノリノリで甘えてたのになんかありましたか?
「あ、あのね、だってね、し、心配なったから。だって、その、悠真君と私って今日あったばかりでしょ? 今日初めて出会って、初めてお話して、初めてあぶあぶして、全部全部初めてでしょ? あと私はその、男の子とお付き合いするのも初めてだし」
「そうですね。確かにそうですね、俺も初めてです、初めて同士ですね」
「そ、そっか、悠真君も初めて……えへへ、それはちょっと嬉しいかも。じゃ、じゃなくてその、今日あったばかりだから、本当に私の事好きになってくれてるか心配になっちゃった。可愛いとか好きとかいっぱい言ってくれたけど、でもでも心配なっちゃって。私だけあまあましてるんじゃないか心配なっちゃった。さっきも歩美ちゃんと一緒に嘘でも色々言ってたし、不安になった」
「な、なるほど。そういう事ですか」
「う、うん。それに私のもてもての友達が言ってたんだけど、ナンパとかする人はすぐに可愛いとか好きとか言うって……あ、悠真君の事そんな風に思ってるとかじゃないよ! 悠真君はそんな人じゃないってわかってるけど、けどちょっと、心配なっちゃった。本当に悠真君が私の事好きか心配なっちゃった……悠真君の事、大好きだから心配かも」
もじもじと指を絡め、小さな身体を俺の足の間でふにゃふにゃ揺らしながら。
心配そうな表情で見上げる秋穂さんの顔は少し熱を帯びて、その真っ白なほっぺを赤く染めていて……そっか、そうですよね。
そりゃ心配ですよね、本当にあったばかりだもん。出会って1時間くらいで色々甘い言葉かけて、それで……俺だって自分で見ててただのナンパ野郎に見えちゃいますもん。助けたのさえマッチポンプに見えるくらいなナンパ野郎ですもん、今の俺を傍から見れば。
「んんっ、悠真君? え、その答えてくれないって、それじゃ本当に……ゆ、悠真君?」
「……ごめんなさい、秋穂さん。秋穂さんの事はすごく可愛くて魅力的だと思ってますよ。本当に素敵で可愛い人だって、そう言う所は好きだって。でもその、えっと……まだもうちょっと時間かかるかもです。まだちょっとちゃんと秋穂さんの事大好きになるのは時間かかるかもです」
だから俺も正直に答えることにした。
秋穂さんも勇気出して聞いてくれてるんだ、俺だってちゃんと自分の気持ち言っておかないといけない。
ちゃんと正直に、嘘とか耳障りのいい言葉じゃなくてしっかりと残る自分の気持ち、伝えないといけない。
そんな俺の言葉を聞いた秋穂さんは、キョトンと目をまん丸にしながら、
「え? あえ? そ、それってどういう事? 好きって事? それとも好きじゃないって事? ど、どっちなの?」
「どっちもですよ秋穂さん。いや、どっちもおかしいですね。好きですけど、まだ時間かかるってことです」
「ん? んんっ? それってやっぱりどういう事? ちょっと難しくて、やっぱりよくわかんない、よくわかんにゃいよ……ふわわ、頭混乱してクルクル……悠真君は私の事……あれ? あれれぇ?」
「ふふふっ、そう言う所も可愛いです。そんな可愛い秋穂さんを俺もっと知りたいんです。秋穂さんの可愛いくて魅力的でカッコいいとこ、もっともっといっぱい見つけて、これからもーっと秋穂さんの事、好きになりたいんです」
「はえっ? はぇぇ? あえぇ?」
こうやってぐるぐる目になって、わけわかんないって感じで頭をゆるゆる小突いてるところも、不安になって色々聞いちゃうところも。
キョトンとした丸い目も、すぐに赤くなっちゃうほっぺも……今だけで秋穂さんの可愛くて魅力的なところ、いっぱい発見出来ました。
もっともっと好きになれるところ、いっぱい発見しちゃいました。
ほら、今の顔も好きですよ、すごく可愛いです!
今の嬉しさとか困惑とかでふにゃふにゃなってるその顔も本当に可愛いです!
「ふえっ? そ、それってその……私の事、好きってことですか? 私の事、もっともっと好きになるってことですか?」
「はい、そう言う事です。心配しないで大丈夫、ってことです。秋穂さんの事、もっと好きになりたいってだけですから……ふふふっ、秋穂さんギューッてしていいですか? 秋穂さんの事もっと好きになるために、ギューッてしていいですか?」
「ぎゅ、ぎゅー? あうっ、も、もしかして悠真君もお姉さんに甘えたくなっちゃったのかな? お姉さんの魅力にらぶらぶめろめろになっちゃってそれでお姉さんにぎゅーって甘えたくなっちゃったのかな! なっちゃたのぉ?」
「ふふっ、そう言う所も可愛いです。秋穂さんだけ甘えてずるいですし、俺も甘えさせてください、秋穂さんに。今の体勢のまま、ぎゅーってさせてください」
「も、もうしょうがないなぁ! ゆ、悠真君の頼みならしょうがないなぁ、お姉さん答えてあげる! だ、だからその……後ろからぎゅーって、してください」
「もう、本当に可愛すぎますよ、秋穂さん! それじゃあ遠慮しないで、ぎゅー」
「ほわっ……悠真君にちゃんと包まれて……はぅぅ……」
照れ隠しするようにお姉さんぶって、でもやっぱり恥ずかしくて真っ赤に丸くなる秋穂さんの小さな背中を覆うように、ギューッと身体を引っ付ける。
ふんわりいい匂いに柔らかい感触、そしてポカポカ温かい体温……あ、これダメだ。ちょっと癖になっちゃいそう! こんな感覚癖になっちゃう!
「んふふっ、温かくてほわほわです。これ、めっちゃ好きです、秋穂さん」
「あうっ、悠真君耳元で話しちゃらめぇ……ただでさえ、もうほわほわなのに、もっと……」
「ふふふっ、しょうがないですよ秋穂さん」
「でも、こんにゃことしてたら私ふわふわとろけ……お、終わり! こ、これで終わり、もうダメ! もう終わりにします、これは終わりにします!」
しばらくこの幸せな感覚に浸っていると、さらに体温をポカポカにした秋穂さんが真っ赤な顔でじたばた腕の中で可愛く暴れる。
「何ですか秋穂さん? 怪獣の真似ですか?」
「そんにゃんじゃにゃいよぉ、は、離して欲しいの……だって、私、これ以上しちゃうともう悠真君感じすぎてとろとろ……だ、だから終わり! ゆ、悠真君がお姉さんぎゅー中毒になっちゃうから終わり! お、お姉さんぎゅー中毒になっちゃったら大変だからももももう終了!」
「ふふふっ、そんな病名聞いたことありません。大丈夫ですよ、そんなんにはなりませんから」
「にゃ、にゃっちゃうの! お姉さんぎゅー中毒は怖いんだよ、怖いからもうしちゃダメ、離して……た、たまにならいいけど、今日はもうらめらから……だから歯にゃしてください、お願いします……お姉さんがもうふわとろ……」
「……ふふっ、ごめんなさい。離しますね、そこまで言われたら。お姉さんぎゅー中毒も怖いですし、いっぱいチャージしましたから」
「う、うん……あぅぅ……」
無邪気で可愛い表情を甘くとろとろにして、制御できない感覚に真っ赤な涙目になっていた秋穂さんに少しドキッとして抱きしめていた手を離す。
危ない危ない、ずっと味わってたい感覚だったけど、でもこの表情見続けると……ふふふっ、危なかった。
やっぱり秋穂さん可愛いや、本当に魅力的で好き……今のドキドキとか色々が隠しきれてない表情も大好きです。
「あうっ、またそんな……そ、そのゆゆゆ、悠真君その、えっと……他のとこならいいよ。も、もしもっとお姉さんに甘えたなら別のとこ、しゅきしゅきしてもいいよ? 別のとこなら、大丈夫だよ?」
「え、良いんですか?」
「う、うん。私ももっと悠真君としゅきしゅきしたいし……だから良いですよ。私の事、もっとしゅきしゅきして、甘えて……お、お姉さんに好きなように甘えていいよ、悠真君……はうぅ……」
ゆらゆらと甘く、消えそうな小さな声で。
俺に密着する秋穂さんが恥ずかしそうに、でも大きく手を広げて……も、もう! 遠慮しませんよ、それじゃあ!
「じゃ、じゃあこことか、良いですか? こうやって指で……」
「んっ、あっ……んんっ、ここ好き、悠真君……悠真君にここ触られるの大好き、すごく気持ちよくて好き……えへへへ、大好き」
「そ、そうですか? 俺も好きです、秋穂さんのここ。えへへ、それじゃあもっとしますね、秋穂さんが喜んでくれるなら……ごろごろ~」
「んんっ、悠真君上手、すごく気持ちいい、大好き……にゃ~、にゃにゃにゃ~」
秋穂さんに言われた通り、少しドキドキしながら喉元をゴロゴロすると甘えた猫みたいな声で身体を摺り寄せてきて。
逆に俺に甘えるようにふにゃふにゃ身体を合わせてきて……ああ、もう可愛いなぁ、秋穂さんは! 可愛すぎますってこんなの!
「んふふっ、えへへ……悠真君、私の事好きになった? これでもっと好きになってくれた?」
「ごろごろ~……はい、なりました。でももっと好きになりたいです、秋穂さんの事、もっともーっと好きになりたいです!」
「えへへ、そっか……それじゃあもっとお姉さんの魅力で悠真君の事、めろめろにさせちゃうからね。お姉さんをもっともーっと好きにさせてあげるからね!」
「はい、好きにさせてください! もっともーっと大好きにさせてください!」
もうメロメロです、秋穂さんの魅力に俺はもうかなりメロメロです……だからもっと秋穂さんにメロメロになりたいです、もっと大好きになりたいです!
「ふへへ、悠真君……にゃー」
「ふふっ、秋穂さん! 秋穂さん!」
「……チッ、意味わかんない」
★★★
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