第75節 我慢するか、伝えるか。

「意思統一できない時はどうすれば良いのでしょうか?

例えば、私は自分の意見の方が良いと思っている。

多数決なので引き下がりましたが、私の心は傲慢ごうまん、モヤモヤのままピッチへ。

この気持ちのコントロール、どうすれば、さとりを開けますか?」



こんにちは、柑那かんなです。


前回は意思統一の話でしたよね。そのコメントで、一部抜粋ばっすいですがこんな質問をいただきました。せっかくだから今回はそれにお答えします。


多分、それは私でもモヤモヤします。それは傲慢ごうまんというより、なにか我慢がまんしちゃってませんか? その決定の場面で不完全燃焼ふかんぜんねんしょうもしくはその決定の場面に何か不満を感じることがあったのではないでしょうか。

たとえば自分の案の方が打開だかいできると思う、という考えは十分伝えられたか。伝えたけど、それでも他の意見が通ったのなら、そっちの方が何かすぐれているところがあったのかも。もし、伝えられていないのなら、あなたの考えの良いところがみんなにわかってもらえていないのかも? もしくは、最初から特定の人の意見が通りやすくなっている、なんてことも考えられるわね。どうせ意見が通らないから意見をいうのをあきらめるってこともあるよね。


多数決たすうけつって民主主義ってよく言われるけれど、実は完全に公平ではないのね。たとえば学園祭で、クラスで何かやろうって決める時にカフェとおばけやしきの案が出たとするでしょ。その時に、「カフェ」がいいか、「おばけやしき」がいいか、内容だけで決めるわけではないってこと。

例えば人気者で元気なAくんの出した案が「おばけやしき」、おとなしいBくんの出した案が「カフェ」、どっちにしよう?ってなった時に、Aくんと仲のいい子は「おばけやしき」に手をげる可能性が高い。それから、Bくんはどうしてカフェをやりたいかをうまく言葉にできませんが、Aくんは「去年やった先輩が楽しかったって言ってたよ!」などとプレゼンできます。すると迷っていた子もそっちに手をげようかな?と思い始める。


意見って、意見そのものの良し悪しだけじゃなくて、誰が言ったかとか、他の人がその意見に肯定的か否定的かっていうのを見て流れる人もいるのね。だから、実は多数決ってそこまで公平な決め方じゃないの。自分の意見が通らなかった方は、不満が残りやすいのよね。


どうしても多数決で決めなきゃならない時もあると思う。そういう時には、できれば見えない形で投票することと、多数決をとる前に十分に意見を言い合うこと、そうすれば少しでも不満を減らせるかもね。


できれば、大事なことは多数決ではなくて話し合って、そこから出た意見を反映した上で決めた方がいいの。モヤモヤしたまま、俺の意見の方がよかったのに!なんて不満を持ってプレーしたら、きっと上手くいかないよね。

もちろん、全員が納得するように意見をまとめるのは簡単なことじゃない。どこまで話しても違う意見になっちゃうこともある。けど、大事なのは意見をまとめることではなく、まずは自分の思っている事を伝えるってこと。たとえそれが最終的に採用されなくても、いいの。あなたがそういう意見を持った人だって相手にわかってもらうことが大事。

ちゃんと話せば、相手の意見のいいところも見えてくるし、自分の思ったこともきっちり伝えれば、たとえ自分の意見が選ばれなくても、なぜ選ばれなかったかがわかるから納得できるよね。もしかしたら、お互いのいいところをとってこうやってみようとか、最初はこっちの作戦でいって、後半はこっちの作戦でやってみようとか、そういう風になるかもしれない。


みんなの意見を聞いて、それをうまくまとめてくれるのが得意な人がいれば、みんなの意見がバランスよく含まれた決定をしてくれたりするので、より不満を感じにくくなったりするわ。隼高はやこうサッカー部の中なら、大竹くんかな。


もちろん時間がない時もある、そういう時にはどうするかもあらかじめ決めておくといいわ。例えば、キャプテンに決めてもらうとか、多数決で決めようとか、それで決まったことには文句は言わないって約束にしておくのね。


なぜ意思統一が必要かというと、みんなの向いている方向が同じになるから。プレーに迷いがなくなって、精度せいどが上がる。もし、誰かが決定に不満を持ってプレーしていたら、そこでパスがずれる、意図が合わない、うまくいかない、ってことになっちゃうと思うのね。


だから、もしメンバーとして試合に出るのであれば、その時みんなでこうしようって決めたことを一緒にやろうってこと。自分が違うことを考えていたとしても、みんなで決めたならとりあえずはそのやり方でやってみようよってこと。


もちろん、正解は1つじゃない。相手のメンバーが変われば、こちらのやり方も変わってくる。そういうときに臨機応変りんきおうへんに対応できるのは、普段からそういうことを話し合っているチーム。もし、Aの案でピッチに出てみたけど、上手くハマらない、じゃあ、あなたの考えたBの案で行くぞ!って方向転換することもあるかもしれない。その時にあなたが「どうしてBがいいと思うか」って考えたことをきちんと伝えられていれば、みんなもすぐに動けると思うよね! 


100%納得のいく回答ではないと思うけど、自分なりの落としどころを探してみてね!!質問ありがとう!!

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