第37節 神様は俺に試練を与えない【MF8美波 岳】

神様は乗りえられる人にしか試練しれんを与えないという。


俺は、それはちょっと違うと思ってる。


俺は幼稚園ようちえんからサッカーを始めた。順調じゅんちょうなことばかりではなかった。

なんどもかべにぶつかったと思う。どうやって乗りえたかなんて覚えていない。もがいたり、悩んだりしてるうちにいつの間にかえていた。

もうダメなのかって思った事もないわけじゃないけど、なんとか高校まで続けてこられた。


今回もそうだった。もっと精度せいどの高いボールをりたい。練習するしかないって思っていた。ただ黙々もくもくとボールをっていたら、しょうが付き合ってくれた。


今まで、神様に与えられた試練だと思っていたから息がまりそうだった。

けど、自分が望んだからこその試練だと、しょうに言われたら、ふっと気が楽になった。練習しなきゃ、っていうのは正直、追いめられるような感じだったけど、与えられたんじゃない、自分からいどんでいるんだと思うと毎日の練習も少し楽しめるようになる。


げることもできる、現状げんじょう維持いじでもかまわない。

だけど、もっともっと上を目指したいと思うからこその、試練。

試練は、決して神様が与えるものではなくて、自分が望んでいどむもの。乗りえようとするからかべなんだ。壁のない道を選ぶこともできたのに、あえて壁のあるこの道を選んだのは自分。

そしてその壁をえた時、きっと今までより少しいい景色が待っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る