第16節 夏の終わりー焦りと怪我
インターハイ、県大会決勝は
「雨の日の試合は何が起こるかわからないからな」
西とディフェンダーは集まって
「いいかー、ピッチコンディションをよく確認しておけよ!」
監督の声に押し出され、
「タッチライン
「あれ、この前のスカウトじゃねぇ?」
部員たちがざわついている。以前、学校にも来たことがあるJリーグのスカウトがメインスタンドで誰かと話している。相手もどこかのスカウトだろうか。
「すげぇ、誰を見に来たんだろ!」
「そりゃ、
「
プロのスカウトが自分たちの試合を見てくれる。そんな状況は胸が高まるものであったが、雨で視界がかすむ中、走り回っているうちに翔はすっかり忘れていた。
キックオフから10分、相手に
「大丈夫大丈夫。すぐ取り返してやるよ」
その言葉通り、
その後はお互い集中した時間が続き、同点のまま、
なんとか逆転のゴールを決めようと、
交代の前に結果を出したい!
相手ディフェンダーがクリアしようとしたボールに無理やり突っ込んでマイボールにしようとしたのだ。雨で予想以上に
ピーッ!!
「カイト!!」
行けるか、という問いかけにも
頭が真っ白になる、というのはこういうことなのか。残りの時間、どうプレーしたのか
バラバラになった
試合後の
「
監督から、笑顔が消えていた。こんな
「今病院に向かわせた。詳しいことはまだわからんが……」
その後の
何を言っても
「勝てなくて、
みんながうなだれた。そうだ、全国大会まであと一歩のところまで
一番全国に行きたがっていた
「確かに、
そう言葉にしたら何かがこみ上げてきた。翔は強く
試合に負けた、
外で電話をしていた監督がドアを開けて入ってきて、みんなの視線が集中する。
「
それからな。
杉山は病院に向かう車の中で、試合に勝ったか、それを気にしていたそうだぞ。
お前らのすべきことはなんだ。
自分たちの頭で考えろ」
監督はそれだけ言うと、ロッカールームを後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます