第15節 ミスを恐れない
その日は
夏のインターハイに向けて、メンバー入りがかかった
「おいシマ! もっと前!!」
今日は何度も
「ごめん!!」
「ドンマイ! 1本取り返そう!」
ピー!
「お前何やってんだよ! パス出せよ!!」
「ごめん……」
シュンとしている背中が気になって、
「おいシマ、どうした? 今日は、らしくなかったな」
「ああ、今日の紅白戦、大事だって意識したら、緊張しちゃってさ。なんかいつもみたいにできなかった」
「あんまり気にすんなよ、チャンスはまだあるさ」
翔はそう言って
今の
このままじゃヤバいな……。
翔は帰りかけた
「なぁ、何か困ってることあるんじゃないのか?」
「こないだの紅白戦、失点に2回も絡んでしまったし、もうダメだなって思ったんだ」
「もうダメって? 確かに紅白戦のミスはいただけなかったと思うけど。でも誰だってミスはするものだし。僕はもちろん、
「それは、そうだけど。
「どうしてそう思うの?」
「どうして?? だって
そうかなぁ、と翔は思いながら
「まずさ、どうして
「だって……
「そんな違うかよ。
「
「言い
「自信がないことへの言い訳なんだ。多分
「
「行きたいけど……
「どうして、そう思う?」
「こうやってミス引きずって、自分に言い訳してる」
「それだよ。
ミスしたこと引きずって、言い訳して、だから
今みたいなプレーがずっと続いたら確かにメンバー入れないだろうけど、
「そうかな……だけど、きっとみんなだって、
「誰がどう思うかじゃねぇ、
「そりゃぁ!!」
と
「じゃあ、もう忘れろよ! そうやってミスを引きずってたら、いつまでも変わらないぞ。ミスしたことは忘れて、あの時どうしたらよかったのか、それだけを覚えてればそれでいいだろ?」
翔は思わず
「それにさ。
「1回目の失点の時は、
「2点目は……俺が
「そうそれ。どうして焦ったの?」
「俺のミスで失点したから、なんとかしなきゃって思って……」
「うん。それで?」
「それで、
「だろ?
1点目はミスだから仕方ない。でも2点目はミスじゃない。防げたから。だから、
ミスはないに
「ミスしたらどうしようって思うと、余計ミスするんだってさ。
だからどうしようなんて思わなくていいんだよ。どうしたら次はうまくいくかってことだけ、考えてればいい」
「ミスは誰にでもある。同じミスを何度もしなければそれでいい。よかったじゃないか。紅白戦でさ。トーナメントだったら、
「それにさ、サッカーはチームでやるもんだ。
そうだな。
思いがけない言葉が出て、
ちょっと泣きたい気持ちになったが、きっとそれは
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