第12話 彼の彼女候補!?

私達は移動し、男の子のマンションに辿り着く。




「ただいま」

「おかえりーー」



部屋の奥から女の人の声がした。




「えっ!?女の人!?まさか!同棲中!?」

「いや!同棲っていう関係じゃないからっ!」


「女の人の声で、お出迎えって明らかに同棲でしょう!?私、帰りますっ!」


「待って!」



グイッと腕を掴まれ、ドアの前に男の子は立ち塞がる。



「ど、退いて下さいっ!」


「マジで違うから!同棲とかしてたら連れて来ないし!」




「どうしたのー?あら?拓海(たくみ)の新しい彼女?」


「違うし!リオと一緒にいた土管娘」


「ど、ど、土管娘って!!酷くないですかぁっ!?」


「だって事実っしょ?雨に濡れて、雨宿りしている所に、リオが来て一緒に雨宿りしていた仲なんだから」


「あのっ!好きで雨宿りをしていたわけじゃありませんっ!」


「じゃあ、土管にいたのは本当なのね?」



女の人が再確認するかのように言ってきた。




「………………」




「ほら!上がりな。俺の姉貴の奈美(なみ)。やましい関係じゃないから安心しな。姉貴、彼女、俺の1つ下の朋花ちゃん。世の中物騒だし、何かあったらいけないから連れて来た」


「そうね!大歓迎よ!着替え出しておくからシャワー浴びておいで。朋花ちゃんは、可愛い系とキレイ系と、セクシー系と大きめサイズで彼氏の家に来た感のある格好、どれがいい?」


「えっ!?な、なんですか?その選択肢は……」


「ファッション誌のスタッフだから洋服に関して色々と詳しくて」



男の子が言った。





「そうなんですね…」


「じゃあ適当に用意しておくから好きなの着て」




そう言って私をシャワールームに案内してくれた。





「今の子、可愛い子ね?拓海も彼女なにフラれて月日経つんだし付き合ってみたら?」


「あのなー…」




しばらくして、シャワールームを出ると洋服があった。


手に取って見て目移りするも、無難なやつにした。




「彼氏の家に来た感のファッションにしたのね?」


「はい…まあ…無難なやつに…全て手にしたんですけど…迷いもありました」


「そう?ねえ、ねえ、ところで朋花ちゃんは彼氏いるの?」


「いいえ、いません。ちょっと…色々あって…私…」


「そうなの?じゃあ、うちの弟なんかどう?」




「えっ?…いや…だってカッコイイし…彼女…」


「それがねー、フラれて随分と月日が経つのに未だに彼女いなくて」


「えっ?……相当な心残りなんじゃないんですか?付き合い長いと忘れるのに時間かかるし…」


「まーねー…でも、そんなに長く続かなかったはずよ。確か…一年も…」



「半年」




ビクッ



「あれ?それくらいだっけ?」


「そうだよ」


「…ハッキリ覚えている程、ある意味、重傷みたいですね…愛して愛しまくってフラれちゃったんですね…」


「えっ?いや…」


「アハハ…やだ…朋花ちゃん、結構、言うのね」


「同居人とやり合ってるんで。あー言えば、こう言う!顔が良い分、性格悪いんですよ!アイツ!」


「同居人?」


「はい!私の父の知人の息子さんなんですけど、今日は、クラスメイトの女子が来るって事で。私、彼女とウマが合わないので。友達との外出する事にして予定狂っちゃって…部屋に戻ったら、まだ彼女が帰ってない事が分かって外出したら悪天候。そこで、拓海さんと…」



「拓海さんって…1つ違うだけだし、よせよ」


「じゃあ…拓海君とか?拓海とか?それとも拓ちゃん?どう呼んだ方が良い?どう呼ばれたい?」


「あのなー…」


「アハハ…」




お姉さんは笑う。



私達は色々と話をしていた。






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