第7話 いつもの二人

そして、瀏司のバイト先に彼は現れた。



「アイツ…」

「瀏司!…他の客もいるんだぞ!」



「………………」



俺は、グッと堪え我慢した。




そして―――――




「あの!待って下さい!」

「何?」

「後でちょっと時間もらえませんか?」

「時間?どうして?つーか、今、済ませ……」


「バイト中なんで出来れば後で」


「そう?じゃあ、バイトの時間が終わる時、また、来るよ」


「…すみません…」


「それじゃ」




俺は時間を教え、後で彼は俺の前に現れた。




「それで?話って?」

「お付き合いしていた人の事です」

「お付き合い…していた…?誰の事?俺、彼女いるし」

「彼女の名前は菊馬朋花」


「菊…馬…朋花…?あー、いたいた。確かに付き合っていた事あったけど…」


「…その件で…言わせてもらえますか?」


「何?」





俺はグイッと胸倉を掴んだ。




「お、おいっ!ちょ、ちょっと!いきなり暴力かよ!」


「あー、正直、殴りてー所だよ!でも…殴っても何の得にもなんねーしっ!本命彼女(ホンカノ)いながら、どんだけの色々な女を取っ替え引っ替えして連れてんのかしんねーけど、カッコイイのを良い事に調子乗ってんじゃねーぞ!」


「君に迷惑かけた?」


「迷惑かけたとか、かけてねーとか、そんなのはどうでも良いんだよ!もっと真剣に付き合えって言ってんだよ!」




バッと胸倉を離す。



「はいはい。ご忠告どーも」




そう言うと去って行った。





それから私はバイトに専念した。




瀏司とは


馬鹿しあったり


ふざけあったり


時には喧嘩して



でも 次の日は


気づいたら仲良く話をしてたり





いつも二人が言うことは


『俺達(私達)喧嘩してたんじゃなかったっけ?』だ。



そこで私達は、また、微笑み合い笑顔になる。




私は その二人の時間が


二人で過ごせる時間が


楽しくもあり心地よかった






「あああーーっ!!ちょ、ちょっと瀏司ぃぃっ!それっ!私が食べようと思っていたチョコレートぉっ!!」


「あーー、悪い。あんまり美味しそうだったから…つい…でもチョコも食べて♪って…」



グイッと瀏司の胸倉を両手で掴む。



「はあぁぁっ!?言わねーよっ!」


「そ、そう?てか、朋花ちゃん…案外、言葉使いも悪くて暴力的なんだね?」


「あんたの血の気の多さよりマシだと思うけど?人のチョコ食べるからムカつくの当たり前でしょう?食べ物の恨みは怖いんだからね!」




グイッと私の両手を掴み、胸倉から私の手を離すと、グイッと引き寄せる。



ドキッ


さっきは自分から胸倉を掴み至近距離だったのにも関わらず瀏司に引き寄せられた至近距離にある瀏司の顔に胸が大きく跳ねた。




「だったらさー、自分の名前書いて食べられねーようにしたらどうなんだ?朋花」


「なっ…!それは…」

「そうすりゃ嫌な思いしなくて済むはずだけど?」



スッと離す。




「…………………」




「つーか、同じ事、起きないように、今度から相手の分も買ってくるってルールにしようぜ」


「えっ?」


「その方が良くね?」


「それは…」


「悪かったな。明日買ってくるわ」


「い、良いよ!だって…食べたいタイミングってあるし…」


「だったら食べたい時に食べれば?」




「………………」





そして、その後。


私は、お風呂を済ませるも、うっかりと全洋服の一式を持って来るのを忘れてしまっていた。



「ヤバ…忘れた」



気付いた時は既に、お風呂からあがり、ない事に気付いた瞬間。


バスタオルを体に、くるみ私は脱衣所を出て行き始める




「瀏司と遭遇しませんように…」



そう願い部屋に向かう。




カチャ


ドアが開いた。




ビクッ



「ヤバ……」




こういう時に限って遭遇してしまう。


ありきたりなパターンだ。



「…………………」



「…ご、ご、ごめんっ!着替え忘れたっ!」

「…んな事は十分分かってっから!早く行けよ!」

「う、うん、ごめん…!」



私は足早に去った。







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