第5話 意外な告白、彼の別の顔 

ある日のバイト帰り――――




「朋花ちゃん」

「…あっ、有矢(ゆうや)先輩」

「ちょっと良いかな?」

「はい」




同じバイト先の


熊仁紫 有矢(くまにしゆうや)先輩。


一個上の他校生の先輩。


優しくてカッコイイ


密かに良いかな♪なんて思っていた。





「ごめんな」

「あー、いいえ」


「いや…実はさ…良かったら俺と付き合ってくれない?」


「えっ!?あの…付き合ってくれないって…?あの…その…」


「恋人としてだけど…」




ドキン



「えっ!?あ…いいえ。そんな私なんて月とスッポンでえーと…」


「君の返事聞かせてくれないかな?」


「いや…えーと…ぜ、是非、お願い致します!あっ!」


「えっ!?」


「いや…あの…本当に私なんかで…」




私達は付き合う事になった。






その日の夜―――――




♪♪♪♬〜…


鼻歌を歌う私。




「ただいま」



椎納君が帰宅。




「あ、おかえり〜〜♪」



テンション高めの私。



「………………」



「何?そのテンション…浮かれモード…こえーよ…」


「あー、いいの、いいの。気にしないで♪ごはん食べるよね?それから、この前はゴメンね」


「えっ?」


「私が付き合っていた人の件」


「あー」


「本当、参っちゃうよねーー?」



そして、私は今彼の事を話した。




「へぇーー、良かったじゃん!」  

「うんっ!もう!超ーー、嬉しいーーっ!」

「……なあ」

「何?」


「忠告しておくけど、ノロケとか、そういうの大嫌いだから」


「ノロケ?」


「もし、ノロケとか自慢話するなら、セメントで、お前ごと埋めちまうから!」


「やだ!ちょっと!セメントで埋めるって…」


「つまり、それくらい嫌いだって事、頭に入れておけよな!」




そう言うと、席を外した。





数日後――――




「えっ!?また、アイツ女作ったの!?」



俺のいるバイト先の同僚が話をしている。




「そう!なんか一つ下の他校生とか?」

「本彼女(カノ)いて飽きねーよな」




《本カノいんの?うわー…タチ悪》



「バイトも、そういう男になんなよ!」

「はあ…」

「あっ!噂をすれば来た、来た」


「アイツが例の男。アレが本カノ。アイツここに良く来るんだぜ」


「そうなんですか?」




《まあ、申し分ないイケメか…俺…嫌いなんだよな…聞かなきゃ良かったかも……》






その日の夜―――――




「えっ!?本カノいて女つくってんだ。うわーー…それ…タチ悪いねーー」


「だろー?だから、お前も、そういう男にだけは捕まんな!」


「大丈夫、大丈夫」




「あー、そうだろうな〜。お前、今彼とラブラブだもんな〜」


「うん♪そういう事♪だから心配いらないよ〜ウフ♪」


「キモっ!」


「酷っ!」


「彼氏の前でも、そういうキャラ出したりしてんじゃなねーよな?」


「しないし!」


「可愛い子ぶって、ブリっ子しても可愛くねーから!」






椎納瀏司


彼の性格が徐々に明らかになってきた


確かに


学校もプライベートも


彼の性格は変わらない



でも 時折


違う一面を見せる


クールな一面だ



そして


男らしく腕力が強くて


ドキッとしてしまう



一人の男として


見てしまう時もある


私はいつか


虜になりそうな気がした 













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