第6話 善と悪とは。

「あおい。座りなさい。」

木に登り、落ちた事を先生から聞いた理人様は詳細をあおいに聞く為に、居間にお呼びになりました。


あおいは言われるまま座ります。

あおいからの表情を見た理人様はため息をつきます。

あおいの表情からは、納得がいかないと言うものだったのです。


「何があったのかを話してくれないか?」


理人様はあおいに優しくお尋ねになります。

あおいは、素直に話しました。そして、話の最後に自分の気持ちを言いかけた時に理人様から言われたのです。


「あおいは、納得がいかないのだね。なぜ、くらまさんが責められたのかも、近づかないように言われた事にも。」


あおいは、びっくりしました。

「理人様は何で私の事が解るのだろう」と。。。



さぁ、そんなあおいと理人様の様子を見ていたのが、光の神様と創造神の神々様でした。


「あぁ。。。あおい。。なんで、あのようなヤンチャな子に興味をもつのだ。。。」

光の神様は、心配でなりませんでした。。


神々様も神妙なお顔で、あおいを見守ります。

1番偉い神様は、あおいの内側にある疑問や善悪の判断をずっと見ているのでした。。



一方、理人様とあおいがお話していますと、結月様がお知らせに来られました。そう、またしのさん達が来られたのです。

二人は、理人様とあおいの元へ通されるや否や、しのさんは謝罪をされます。

「この度は、真に・・・」と言いかけたところに、くらまさんが怒りをあらわにして、しのさんの言葉を遮りました。

「姉ちゃんが謝ることなんてない!

俺は止めたんだ!来るなって!それなのに勝手に登って来て落ちやがって、おかげでこんな目に、、、」


「こらっ!、、いいかげんになさい!!」

しのさんのお顔からは、悲しみがにじんでおりました。


理人様がお二人にも座るように言葉をかけられ、お話がなされることになりました。


理人様はまず、あおいから詳細を聞いた事を話されました。その上でしのさんとくらまさんにもお話になります。


「まず。此度は、あおいが木に登り落ちた際に、救けて頂き真にありがとうございました。」


理人様からのお言葉にしのさんもくらまさんも目を丸くしています。


「あおいは、どうやらくらまさんがずっと気になるようでして。なぜ、周りの皆様がくらまさんをあのように見るのかです。」


しのさんは答えます。

「それは、この子が、皆を恐がらせ、乱暴にするからです。先生からもいつの間にかそのような目でしか見ては貰えないようになるのは当然です。」


理人様は、あおいにお尋ねになります。

「あおいは、くらまさんが恐いかい?」


あおいは、首を横に振り「恐くない」

と答えます。


理人様は微笑み、しのさんとくらまさんにむけてお願いします。

「あおいは、このように申しております故、どうぞ仲良くしてやって下さい。」


あおいは勿論な事、しのさんもくらまさんも何も言えなくなりました。そればかりか、「なぜ?」と言う疑問が湧くのです。。


尚も理人様はつづけられました。


「此度は軽率に木に登ったあおいが悪いのです。これからは、このような事がないよう、言い聞かせます故お許し下さい。」


結月様は理人様が何を言わんとされているのか、お考えが解り微笑んでおられました。


しのさんは理人様のお言葉に恐る恐る尋ねます。

「なぜ、そのように言われるのですか?くらまを見れば、皆様は悪いのはくらまだと言われますのに。」


そんな、しのさんに理人様は、お話しになりました。

「しのさんは、真にくらまさんが悪いとは思ってはいないでしょう。

本当は、良い子だと。私にはそのように見えるものですから。きっと、あおいも同じではないかと。そう娘を見て思うのです。」


理人様のお言葉に1番驚きを隠せないのは、くらまさん本人でありました。

今までそのような事を言われた事がなかったのです。


あおいは、理人様の暖かい理解に嬉しく思うのでした。。。

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