第4話 出逢い
理人様と、結月様の元であおいは、益々綺麗な、可愛らしいお姫様へと成長していきました。
そして、理人様は、あおいを学びの園へと通わす事にします。
いわば、学校なのです。
そこには大勢の若き少年や、少女であるお姫様や、王子様が通っています。
各御部屋があり、自分に必要なお勉強をするようです。
しかし、ここであおいが待ち受けていたのは、自分とは、全く違う容姿のお姫様、王子様達でした。
理人様や、結月様と同じように、黒髪で、和装なお召し物の正にこのお国の装いな人達でありましたから、あおいのような異質な姫様は何処にもいなかったのです。
この頃のあおいの装いは、和装ではあるものの、明らかに皆とは違う髪の色、肌や、目の色すら、異質なものでした。
あおいをひと目みたお姫様達は見たこともない、あおいの容姿に釘付けになり、そのうちの、お姫様から
「御伽のお姫様みたい!」と言われ、
その部屋に居たお姫様、王子様にすっかり囲まれてしまったのです。
緊張するあおい。
ですが、お姫様達からの明るく、楽し気な言葉掛けに、あおいは、ほっとするのでした。
お部屋のお姫様、王子様達とすっかり馴染んだあおいは、毎日が楽しくて仕方ありませんでした。
初めての友達とも言えたのでしょう。
その様子を天界からご覧になっていた、神々様は勿論、光の神様も、微笑ましくご覧になられていたのでした。
「あおいが、幸せそうに笑うと、なんと私も幸せな事か。」
そんな、光の神様のお心に強烈な事が入ってくるのです。
1番偉い神様からのお言葉でした。
「あおいは、綺麗なお姫様になりましたね。そろそろ、恋のお年頃となるだろう。」
それを聞いた光の神様は、たちまちお顔の表情が変わるのです。
「こ、、、恋など!まだまだ早いです!」
創造神の神々様も、1番偉い神様も
ため息をつかれながら、「やれやれ・・・」といったご様子でした。
「光の神よ。あおいの成長を最も促すのは、恋。そして愛なのだよ。
叶うも恋。叶わぬも恋。どんなに成長するかを見守ってあげよう。」
そうして、出逢うのです。
あおいのお相手となるであろう。
王子様に。。。
あおいがいつものように通う道を理人様と歩いていると、突然一人の男児が現れました。
男児は、逃げているようにも見え、
理人様の後ろへと隠れてしまいます。
驚くのは、理人様とあおいでありました。
理人様は、ご自分の後ろに隠れた男児に優しくお尋ねになりました。
「もし。そなたは、如何されましたか?」
あおいは、その様子をみておりましたら、男児は、返事をします。
「お、追われているのでございます。」
すると少し遠くから、何やら女性の声がするではありませんか。
あおいも理人様も声のする方を見ますと慌ててかけてくる方が見えます。
その女性は、どちらかのお姫様のようでございました。
お綺麗な、お召し物を振り乱し、この男児を追いかけて来たのだとわかります。
「お、弟が、、、申し訳ございま
せん。ご迷惑をおかけしました。」
女性は、息を切らし理人様にお辞儀をしますと、後ろに隠れておりました男児を捕まえ
「こらっ!! 学校にちゃんとお行きなさい!! ほらっ、これを持って!」
男児は、抵抗します、「嫌だよ!!」
その様子を見ていた理人様は、その男児にお言葉をかけ、みるみる間に、あおいと一緒に学校へと男児を届けたのでありました。
あまりのさっさりぶりに驚いたのは、お姫様でありました。
では、理人様は、なんと言われたのでしょうか。
男児は理人様に尋ねます。
「本当に行ったら良いことがあるのか?」
理人様は、終始ニコニコでありました。
そして、その日は、あおいを送り届けてからも理人様は帰らずにご様子を見ているようでした。
お部屋に入ったあおいと、男児はもう、注目の的であります。
あおいに口々に尋ねて来るのです。
「大丈夫? どこもなんともない?」
「なにもされてない?」
等などです。
あおいには、全く言われている意味がわかりません。
男児は、渋々といった様子で席に座りました。
「あおい様、あちらの方は恐いのですのよ、気をつけなければ!」
「なんで、一緒になど登校などと。。」
見れば誰も、男児をよく言わないのです。
ですが、あおいからは、そのようには見えずでしたから。
はっきりと答えました。
「何が恐いのですか?」
あおいからの返答に部屋中が目が点になり、、、いえ、1番驚いていたのは、その男児本人でありました。
そして、理人様が部屋に入ってくると、次のように言われたのでした。
「皆様、あおいの父でございます。
そちらの級友は、休みがちと伺いました。あおいにとっては、皆様と同じ友であります。その友がこうして、来られ、皆様が揃いました事、嬉しく思います。
これからも、仲良く学びあってください。」
お部屋は何とも不思議な、空間になっておりました。
あおいの言うように、男児は級友に乱暴を働いたわけでもなく、ただ、容姿から察する風貌にどの級友からも恐れられていたに過ぎなかったのです。
これが、あおいと「くらま」と言う
男児との出逢いなのでした。。。
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