2022年12月11日(日)



 吾輩の怒涛の2週間が幕を閉じた。




ケ〇ロ軍曹のような話し方をする教授に、




「え、社会人働きながら無理じゃね?」




と思う量のレポート(演習)課題を出され、





本業をこなしながら、

その合間にちまちまそれを仕上げていくという


何とも苛酷な14日間であった。




それ故に執筆活動も、日記も滞ってしまったのである。




この日記含めた吾輩の作品を待ち遠しくしてくれている、そこの物好きな貴方。





全てはケ〇ロ教授の暴挙から始まったことであるため、




この点お忘れなきよう脳裏に焼き付けておいて頂きたい。




吾輩検定なるものが存在すれば、




必ず試験に出すようなアンダーラインものの重要事項である。




もし、この問題を間違えた人は、





蛍光ペン鼻に突き刺しますよの刑に処すため、


気を付けておいて欲しい。





吾輩、イン〇ィアン。嘘はつかないのである。




そんな小ネタはおいておいて、



執筆再開前に少し息抜きでもしよう。





レポートが終わればすぐに執筆すると、




私の青い鳥が世界に宣言していたため


呑気に居眠りをしているわけにはいかない。





ほんの少しだけ外の空気でも吸ってから、


有言実行といこうじゃないか。






吾輩、外のひんやりした空気を求め、



ベランダの窓を開けた。
















ん……。










あれ、ここは……。









ここは、どこなのだろう……。







吾輩、一体何を……。






あぁ、そうか吾輩汽車に乗ろうとしていたのだな。







目の前に大きな汽車があるのだから、




そうに違いない。







あ、汽笛が鳴っている。乗車しなければ……。








どこか古めかしい汽車だが、趣あって良い。







だが、こんなものに乗ってどこに行きたかったのだろう……。






思い出せないが、まぁ良いだろう。







空席に腰を下ろす。








動く汽車の窓に景色が流れていく。








外はすっかり夜だ。








そんな景色を見て、




猪の被り物をした風変わりな少年がはしゃいでいる。








窓の外に飛び出そうとしているようだ。






声を掛けてあげようかと思うが、




黄色の髪の少年が猪君を羽交い絞めにしては窘めている。








可愛い子どもたちだ。汽車ではしゃぐなんて。







あ、もう一人友達がいるようだ。









額に傷のある緑の市松模様の…






あれ、よく見るとみんな古風な出で立ちだな…。









吾輩の胸に疑問が溢れるのと同時に、


肩を叩かれる。









顔をあげると車掌らしき人が手を出してきた。








……あ、切符か。







いつから握っていたか分からない切符を渡すと、


吾輩の切符にプライヤーが通される。

















「先生、先生。」





激しく肩を揺らされ瞼を開くと、



若い女性が吾輩の肩を揺らしている。






「もぉ、締め切りすぎてるんだから居眠りなんて禁止ですよ。」






締め切り?






目の前に大量の封筒が積み置かれる。





「先生の作品を待ってるファンが大勢いるんですから、早く仕上げちゃって下さい。」







目の前で雪崩を起こした封筒の封を切り便箋を開くと、





「先生の作品いつも楽しみにしています。」





「ご自愛なさって、新作執筆されてください。」







などとねぎらいの言葉がどれにも書かれていた。








………………。










そうだ、そうだった。








吾輩、思い出した気がするぞ。








吾輩は売れっ子小説家だったのだ。







便箋を開くたびにそんな気がしてくる。






売れないしみったれた小説を書いていたように思っていたが、







本当はそうではなかったのだ。







書かねばならない。





いつからそうなったのか、


何故かはっきりとしないがそれは良い。







そんなことはどうでも良い。








願いは、気付かぬうちに叶っていたのだ。






だから、書かねばならない。






ファンが待っているのだからな。







さぁ、書こう。








ペンを握る吾輩の耳をある言葉が駆け抜けたが、




執筆に勤しむ吾輩はそれどころではなかった。


















「お~~~~ね~~~~む~~~~り~~~~。」














どこかで警笛が聞こえた。





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