2022年11月8日(火)

任務先で貸与しているパソコンから異音がし始めた。


吾輩、機械は無知なうえ、たいへんな音痴のため知らなかったのであるが、

10年以上前のパソコンを貸し出ししてくれているようである。


真迎えの紳士に教えてもらった。

何やら長々と型番など教えてくれたが、覚えていない。

途中からビックバンが起こる宇宙の様子などを妄想してしまっていた。


そんなこともあり、ひどくひどくおんぼろのパソコンを、

有り難くお借りしているのであるが、異音がする。


あまりにもおんぼろのパソコンのため、

触れた際にキーボードやら内部の部品がとれてしまわぬよう、

常にソフトタッチを心がけていたが、どうにもお迎えが近いらしい。


起動のボタンを押すと、ファンの辺りから「ぶぉふぉん」というガス欠車のような音が聞こえるのである。


かなり大きな音のため、吾輩、起動の度に赤面してしまう。


ただでさえシャイな性格だというのに、困ってしまう。


もうパソコン起動と出勤拒否をしたくなるほど、恥ずかしいのだ。


もし、ファンから発射された風圧により、

近くの書類が飛ばされたり、

吾輩の前髪がなびいたりした日には早退しようと胸に秘めている。


そのくらいであれば、まだいい。

いや、よくはないがその程度であれば、

吾輩が林檎のように顔を染めるだけで済む。


これがもし、どなたかの被り物、

ヅラという名の帽子を吹き飛ばすようなことになったら、

取り返しがつかないのである。

笑い事ではない。


きっとその人は、恥ずかしいと翌日から出勤しなくなるだろうし、

辱しめられたと、吾輩を怨むだろう。

吾輩のパソコンがしでかしたことだというのに。


子の責任は親の責任とはいうが、

こんなおんぼろパソコンの責任なんぞ取りたくないのである。

借りてはいるが、吾輩の物ではない。


つまり、そんなまさかのヅラ吹き飛び事件が起きたとするならば、

それはそんな事件を起こしそうなボロボロのパソコンを貸した

偉い人が悪いのである。


吾輩のせいではないため、事件が起きても吾輩を怨まないで欲しい。


これを読んだパソコンを貸し出す偉い係の人達は、

ただちにおんぼろパソコンを回収し、最新のものに交換する必要がある。


そうでなければ、悲劇が起きてしまうことになるからだ。


どこかの職場で、そのような悲しみの涙が流れないことを


切に願う。



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