恋と明日と静かな海
第41話
世間はクリスマス一色となり、夜斗の会社は少し早い冬休みが始まった
最近ではあまり言われなくなった「半ドン」という午前中で仕事が終わった今日、夜斗は霊斗と共に神奈川県に来ていた
「おうおうリア充ばっかだな」
「俺らが言えたことじゃないがな。で、何故神奈川…。しかもお前の金とはいえ俺にレンタカー運転させてまで来た意味は」
「クリスマスプレゼントを買いに来たんだよ。暇だからってのもあるけど、実は我が家だと恒例行事だ」
「5回目だろクリスマス。お互いこんな感じなのか?」
「おう。ユキは今日休みで名古屋行ってるし、多分買いに行ってんじゃね?」
「へー。いつもケーキだけ食ってた俺らとは全然違うクリスマスだな」
「夜斗の場合今年が新婚初クリスマスだもんな」
「新婚なんて言葉は初年しか使わん」
そんなことを言いながら中華街を歩く夜斗と霊斗
実はここは立ち寄っただけで本命は東京だ
小腹が空いた霊斗が行こうと言って聞かないため連れてきただけである
「ほんっと熱々カップルだな」
「新婚5年目だ」
「そうじゃねぇし新婚なんて言葉は初年しか使わん(2回目)」
通りに面した出店で適当に食べ物を買い、食べながら歩く
所謂食べ歩き。夜斗は祭り以外でやったことはなく、その祭りでさえもほとんどの場合近くに座って食べていた
「大丈夫だって、世の中には新婚17年目にして17回目の新婚旅行をしたって夫婦もいるんだから」
「ラノベの中でな。リアルにはいねぇよ」
ため息をついて片手を額に当てる夜斗
霊斗は気楽なもので、笑いながら露店を見ていた
肉まんを購入して食べながら駐車場へと戻っていく
「じゃあ東京行くかぁ」
「そんな気はしてた…。まぁ、ちょうどいいか…」
「何が?」
「弥生のクリスマス買ってねぇんだよ。新婚クリスマスだからな、さすがに買っていくべきだろう」
「そうだな、買ってやれよ」
借りてきた車は軽バンだ。喫煙可能車が商業用車しかないため、中でも一番安いものを借りてきている
とはいえこれでキャンプや車中泊をしてる人もいるくらいには荷室が広いため、何を買っても大抵乗せることができる
「霊斗は何買うんだ?」
「今年は乾燥機かな。家の南側にビルができて日が当たらんって言ってたし」
「日照権侵害で訴えたほうが金になる」
「ここまで露骨なビル建つとは思わなくていいよって言っちゃったんだよなぁ。5階建てって聞いてたけど30m超えてるらしい」
「5階建てとはって感じだな。大型の工場だと1階の床から2回の床まで10mとかあるけど、そんだけあると5階建てなんてほぼないし」
「エレベーターついてるんだってさ」
「31mを超える建物には1基非常用エレベーターつけなきゃいけないって法律があるからな」
「詳しいな」
「本職ですし」
夜斗は思った。乾燥機なら地元で買えばよくね?と
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます