第14話 リベンジポルノ
彩花は彼氏から脅されていた。「別れたらお前の裸をばらまいてやる」と。
だから半年我慢した。
彼氏は別れると言わなければ脅してもこなくて、優しくしてくれて、彩花のことが大好きで、色々なところへ連れて行ってくれた。
大企業に就職できる頭脳の持ち主だから収入だって多い。
こんな良い彼氏はなかなかいないと思い込もうとしてみた。
だけどやっぱり好きではない。
チョウ先輩は彩花から依頼されてボソッと呟いた。
「そんな男、さらって拷問したら簡単なんだけどな」
小声であってもそんな恐ろしい発言を聞き逃さなかったルカは釘を刺す。
「ダメですよ。うちは暴力団じゃなくて会社なんですから」
「分かってるよ。上場企業を目指す警備会社だからな」
はっ? 上場企業?
こんなグレーゾーンな会社が上場出来るわけがないと思っているルカは依頼内容を忘れそうなくらいの衝撃を受けた。
「そう言えば、タイガ社長が今度関西に進出するって言ってたぞ。お前は大阪好きか?」
チョウ先輩の更なる爆弾発言にルカは完全に依頼内容が頭からぶっ飛んだ。
「えー、私って大阪に転勤させられるの?」
チョウ先輩はアリナさんを使って、今回のターゲットの
会場内では下着姿のたくさんの女の子が舞台上で踊って、札束の雨が店内を飛び交っている。
ルカとチョウ先輩は一般客の振りをして一緒の会場に潜り込んでいた。遠くには彼氏とアリナがお酒を飲んでいる。
正信はご機嫌になって騒いで、舞台上の女の子と一緒に軽くリズムを刻んで、アリナを口説いて、泥酔して、アリナに担がれるようにVIPルームに入っていった。
「見えなくなっちゃいましたよ」
ルカは少し慌てて言ったが、チョウ先輩は不気味に笑っているだけであった。
30分位しても二人が入っていったVIPルームから出てこない。
アリナさんのことだから大丈夫だとは思うのだが、それでも少し心配になった。
「様子を見に言った方がいいんじゃないですか?」
「そうだな。様子を見に行くか」
チョウ先輩も乗り気になってVIPルーム前に移動する。入口近くの扉にスタッフがいたが、チョウ先輩がいたから止められることもなかった。
「少しだけ扉を開けて中の様子を見てみろ」
アドバイスに従ってルカはゆっくりと扉を開ける。
「きゃっ。何これ?」
声が出てしまい慌てて両手で口を塞ぐ。
ルカが見た部屋の中はいやらしい物で満たされていた。その中心にバニーガール姿のアリナさんと、天井からロープで縛られて吊されている正信がいた。
「よし。もういいだろう」
チョウ先輩がその異様な空間に乗り込んでいく。黒の皮のコートを着ているから、バニーガールと組み合わせがいいなんてことを、つい思ってしまう。
チョウ先輩は吊されて身動き出来ない男に近寄る。
「お前、いい会社で働いているんだってな。この姿を今度の会社の会議で流してみるか?」
ブンブン。
正信は口も塞がれている為に喋る事も出来ず首を振るだけとなっている。
「じゃあ、お前のスマホと交換な。あと家のパソコンもメモリーも全部貰うけどいいな?」
全てを察した正信は頷くしかなかった。
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