第12話

「……これは、一体……?」

 煌は問いかける。

「解らない」

 佐紀は首を横に振る。

「今朝、この部屋のポストに投函されていた、郵便配達員が来た形跡も無いし、そもそもこのマンションは、住人で無い者がロビーから先に進むためには、部屋からエレベーターの扉を開けねばならないはずなのに、これを投函した奴は一体、どうやって中に入って、この階まで来て、そしてポストにこれを入れたのやら」

 佐紀は言う。

 煌は何も言わない。

 佐紀は、更に続けた。

「さらに、ネットなどで調べて見たところ、この手紙……」

 佐紀は、そこで言葉を切る。

「いいや、内容的には、『招待状』と言うべきかな? この『招待状』は、今日、全く同じ時間に、同じタイミングで、色々な家のポストに投函されていたらしい」

「……そんな……」

 煌は言う。

「もちろん、場所も一切関係無い、ほとんど同じ時間に、自分達が決めた相手の家のポストに、同時に入れるなんて、一体どれだけの手間や資金がかかると思う?」

 佐紀は告げた。

 煌は首を横に振る、想像も出来ない。

「手間暇をかけて、住所を割り出して、そこに配達員を派遣したとしても、そもそも全く同じタイミングで、なんていう事自体が無理だ、だけど……」

 佐紀は言う。

「この手紙は確かにこうして届けられている、因みに消印なども無いし、差出人の名前も書かれてはいない、こんな手紙、そもそも普通の郵便では届けられないだろうな」

 佐紀は、はっきりと言う。

 それは、確かにそうだろう。

 では……

「一体、誰が、どうやって?」

 煌は問いかける。

「……解らん」

 佐紀は告げた。

「解っているのは、送って来たのは『死神』という人物である、という事と、そして……」

 佐紀は言う。

「手紙を送られた人物達に、共通点がある、という事だけさ」

「共通点?」

 煌は問いかけた。

「ああ」

 佐紀は頷く。

「みんな、名のある『ゲーマー』である、という事さ」

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