第144話 湖観光
「……これまた大勢だね」
「ソーマ様が王都の外に出るのならこれくらいは必要かと存じます」
「今日は第一王女様と第二王女様もいるので、当然っす!」
今日は王都の外へと出るので、護衛部隊隊長のカミラさんと副隊長のルスリエさんも一緒に同行してくれる。
昨日はみんなと一緒に王都を十分に観光して、演劇を楽しんだ。ディアーヌ様もカロリーヌさんもグイグイくるので、何度もドキッとさせられたな。今日は王都の近くにある有名な観光地へと移動している最中だ。
もちろんディアーヌ様とカロリーヌさんもそれぞれ別の馬車だが一緒に同行している。この豪華な馬車にはカミラさんとルスリエさん、そしてエルミーたちが一緒だ。
王都の外ということで、昨日王都を歩いた時の倍近い護衛が動員されている。……少しだけ申し訳ない気持ちになってしまう。
「それにしても、もう明日にはアニックの街へと帰られてしまうのですね……」
「ええ、王都でやることも終えましたし、あまり長居すると、ご飯がおいしいのですぐに太ってしまいそうなんですよ」
先日国王様には例の病気を治せるポーションの今までの検証結果を伝えた。やはりそんなポーションは今まで存在したという記録がなく、ものすごく驚かれた。
国王様にこのポーションについては情報を漏らさないよう、厳重に注意して取り扱うように伝えられた。どこまでの効力があるのかはまだ検証中だが、病気を治すポーションがあれば、俺のいないところでも病気の人を治すことも可能だからな。
今のところは俺が魔法をかけてからしばらくの間は持つようなので、定期的に王都へ来る時にこのポーションを持って来ようと思っている。ただし、回復ポーションとは異なり、リカバーの魔法はエリアで使用できないから、一本ずつ魔法をかけるので時間がかかるのが唯一の欠点だな。
王都の方でもこのポーションについて検証をしたり、何かリカバーの魔法についての情報がないかも調べてもらう予定となっている。国王様の方からは王都でのポーションの研究についての結果をもらったので、アニックの街へ帰ったら、じっくりと目を通すとしよう。
王都でやることは終えたので、今日の夕方に王都へ戻ったら市場でお土産や王都でしか手に入らない調味料を購入し、明日の朝には王都を発つ予定だ。……王都にいると運動をほとんどせずに、おいしいご飯が次々に出てくるので、長居するとすぐに太ってしまいそうである。
「カミラ隊長、うちらにはまだソーマ様をアニックの街まで護衛する任務があるっすよ! 次にソーマ様が王都に来る時も護衛隊長に選ばれるようここで頑張らないと!」
「うむ、その通りだな! ルスリエも気を抜くなよ」
「はいっす!」
「俺もできれば見知ったカミラさんが護衛をしてくれるといろいろ助かりますからね。俺からもぜひお願いしたいですよ」
「は、はい! ソーマ様のご期待を裏切らぬよう、命をかけて励ましていただきます!」
少し頬を赤く染めながら、そんなことを言うカミラさん。本当に毎回大げさすぎる。
「おお~ここは本当に絶景だね」
「はい、こちらは王都でも有名な観光地のライアール湖です。今はとても美しい緑色をしておりますが、時期によって、鮮やかな朱色や濃い青色へと色が変化する湖となっております」
王都から馬車を走らすこと2時間、やってきたのはとある丘の上にあるとても大きな湖だ。このライアール湖と呼ばれる湖はとても広い湖で、時期によって色が変わる不思議な湖らしい。
緑色だけならともかく、様々な色に変わる湖とは恐れ入る。こういうところは元の世界とは違うよな。
「夜は夜で湖面に星が映って本当に綺麗なんだぜ。欲を言えば、ここでソーマ殿と一夜を明かしたいところだぜ」
「………………」
相変わらずディアーヌ様はグイグイくる……
「この湖には危険な魔物のいないし、ボートに乗ったり、釣りを楽しむことができる。もう1~2か月くらいして暖かくなれば、この湖で泳ぐことも可能」
「へえ~そうなんだ。さすがフロラ、物知りだね」
護衛を含めると結構な大人数になっているが、俺たち以外にも大勢の観光客がこの湖にやって来ている。この湖はとても広く、ここからボートに乗った人もちらほら見え、湖の周囲では釣りをしたり、テントを張って料理を楽しんだりしている人がいる。
王都からほどほどの距離に位置することもあり、この観光地を訪れる人は多いようだ。
……んん? ちょっと待てよ。
今この湖で泳ぐって言ったよな。こっちの貞操が逆転した異世界で泳ぐということはどうなるんだ?
元の世界とは男女の貞操が逆になるということはまさかと思うが、全員上半身は裸になってしまうのか? 王都へ来る時に上半身裸で水浴びをしていた護衛部隊のカミラさんやルスリエのことを考えると、湖で泳ぐときもそうなる可能性が非常に高い。
……天国かな?
くっ、確かに今泳いでいる人はひとりもいない! あと1~2か月後か……うん、絶対に忘れないようしなければ!
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